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たゆたう、

「あなたが死んだ夢を見ました。あなたはいつものように行儀良く座ったまま目を閉じてそのままなにもいわなくなるのです。よく見ると首に大きな傷があってそこからどくどくと血が流れています。その傷があなたの命を奪ったことはすぐ分かりました。俺はなにも考えられなくなってあなたに縋りつきます。勿論あなたはなにも応えません。辛くて、とても悲しいのに俺は泣けないんです。俺はそんな生き方をしてきたから。あなたが死んでも泣けないんです。こんなに胸が苦しいのに。死んだあなたはいつもと同じように優しく微笑んでいました。俺はその笑顔に誘われて思わずあなたの膝に縋りついたのです。まだ暖かくてとても心地よい膝でした。頬にべたりと血がついても構いません、いえ、構いませんでした。あなたの手を握ってもちっとも反応はなくて俺はまた悲しくなります。あなたのなかにあなたがいて、俺がこんな風にしているのを笑ってくれるのではないかと期待しました。あなたはあなたという殻を脱ぎ捨てて新しいあなたになるのです。どうしてすぐ思いつかなかったのか。あなたのなかにはあなたが隠れている筈です。俺は何故か片手に刀を持っていたので思いつくや否やあなたの腹を切り裂きました。ああ、勿論夢のなかの話、です。現実のあなたにそんなことできるわけがありません。血を浴びました。あなたは血まで暖かい。すると、ああ、ああ、あなたのなかからあなたが出てきたのです。身体を丸めて膝を抱いていました。泣いているようだったので俺は自分の身分も忘れてあなたを抱き締めました。あなたは泣き止んで、矢っ張り優しく微笑みます。そこで目が覚めました。夢ですから、いつかは覚めるものです。それで気づきました。あれは暗示でした。あれはきっと、こうせよとの暗示なのです。おわかりですか、主。あるじ、あるじ、俺の子を孕んで下さい、あるじ、俺は付喪神であなたは人の子です。でも俺は聴いたことがある、外つ国では神も人と交わり子を成したと。あるじ、俺の子を孕んで下さい。あるじ、あるじ、聴いておられますか、あるじ、俺は、あなたが、」