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せめる、

ああ、ほんとうに。
一度だけならばと身体を許したのが間違いだったのだ。熱を帯びた長谷部のそれは私を犯してすっかり自分のものにしてしまった。あるじ、あるじ、と縋りつく傷だらけの身体は私には大きすぎる。それでも逃れられない。彼の腕は私を封じ込めてただ悶えるだけの肉にした。気持ちよかったのは初めの一度だけだ。嘘じゃない。二度、三度と彼が欲張る度に私の身体はきりきりと痛んだ。

「っあ、あるじ、あるじ」

多分いまのが五度目の射精だった。長谷部の温い精液がなかに溢れる。少しだけ身動ぎした。見上げれば口をだらしなく開けた長谷部がいかにも気持ちよさそうに眼を閉じて恍惚の表情を作っている。本当にだらしない。いままでには見せたことのない表情だ。これから先も私以外には決して見せないのだろう。固さを失ったそれがゆるりと抜かれる感覚があって、私は緩慢に身体を起こした。長谷部は口の周りの唾液を拭って息を整えている。ああ、ほんとうに、なにもかも失敗だったのだ。こんなはずじゃなかった。長谷部とこんな関係になってはいけなかったのに。

「主、どこへゆかれるのですか」

引き裂かれた着物を求めて背を向けると後ろから覆い被さられ体重をかけられる。嫌な予感がして、それが的中していることはすぐ分かった。両手で私の腰を掴んだ長谷部はまた私のなかを求めて身体を動かす。逃げたくて懸命にもがくも、怠い腕はまともに動かない。されるがままに後ろから獣みたいに交わる。身体を支える腕が折れて強かに顎をぶつけた。ゆるゆると動かされていたそれは段々と速さと固さを増して私を犯し始める。

「やめて、おねがい……」

もう声も出ない。ほんとうに、ほんとうに、こんなことは間違っているのだ。