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テントの外のふたつの革命



 いつか、ふつうの会い方をしたかったね。こんにちはから始まって、運命のふたり特有の不思議な解り合いをする。
 叩きつける熱にはしたない声が出てしまう。細い身体に似合わない乱暴な動きにぞくぞくする。わたしの腰を掴んでまるでモノみたいに扱う姿、もっと見せてほしいの。生の肌と肌のぶつかり合い、乾いた音と濡れた音が交錯する。だって過去のあなたを知らないから、いまだけでもいい、誰も知らないあなたを見せて。

「はぁ、あ」

 貪るよなディープキス、大好き。もっと食べて。ネズさんだけのわたしにして。唇を食んで舌を絡めながら荒い呼吸の交換をする。わたしを食べ尽くしてしまうよなキスをしているとき、ネズさんはまるでわたしに助けてといっているようでとても愛しくなる。いまのふたりならなんでもできる、わたしが助けてあげるからね。
 奥を抉る熱に悲鳴を上げる。不器用な彼のエスオーエスはこうやって身体に直接叩き込まれて、わたしを歓喜させるのだ。

「ん、」

 わたしと違ってネズさんははしたない声を出さない。それでもたまに漏れる上ずった吐息がふたりをもっと駆り立てる。お腹の奥が疼いて、止まらない。もっと、とキスの隙間におねだりしてみた。もっと壊して、なんでもして。

「え? なんです?」

 その意地悪な笑みはわたしの身体をすべて分かっている顔つき。助けてほしいくせに、余裕ぶってる表情。うっすら汗をかいている。生きているんだなぁ、と思った。
 
「もっと、して、ねぇ、ネズさん大好き」

 もうどうだっていい。わたしの身体を知り尽くしているんだから、心まで好き勝手してしまえばいい。知ってる、あなたがアイラブユーを求めていることくらい。譫言みたいに大好き大好きと繰り返しては与えられる快感に身悶えする。わたしたちってまあまあ危ない流れ方をしているんだ。
 どうでもいいや、心と身体を無駄するふたりの共倒れ。
 ああ、ねえ、いつかふつうにアイラブユーといいたかったね。

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