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AM 4:00



 容赦ない殴打が続く夜半、わたしはもう死を覚悟していた。このまま意識を手放せばきっと楽になれる。倒れこむときに打ちどころが悪ければすぐ楽になれる。悲鳴を上げなくてもいい。
 おかしいなぁ、この腕はキバナを抱くためにあると思っていたのに、自分の顔を庇ってばっかりだ。
「オマエほんっと救えねーな」
 理不尽に襲いかかる拳。顔だけはやめてと何度も懇願したがそれを聞き入れるキバナではない。
「抵抗ってつまりオレを拒否するってことだろ?」
「ちが、ちがうの、」
「違わねーよ。口答えすんな」
 大きな手がわたしの両腕を頭の上で拘束する。あ、と思ったときにはもう遅くて、鋭い拳が右頬に叩き込まれた。顎の骨が軋む。
 腫れた顔は可愛くないから見られたくないの、分からないかなぁ。
「あーあ、もういいわオマエ」
 手が離されたとき、もうわたしは立てないくらい疲弊していた。床を舐めるように這って、それでもキバナの足に縋り付く。
 捨てないで、お願い、いくら殴ってもいいから、傍にいて、動かなくなるまで、好きでいて、お願い。

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