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yummy yummy



 山盛りのヨーグルト。頑張って貯めたサイレース。さあ準備はできた始めよう。煙草も吸うからもうひとつくらい腕と口があると便利だなぁ。サイレースをこつこつ砕きながらとりあえず一服する。ここのところあんまり眠れていなかったからあくびが止まらない。眠気はあるのに寝付けないから、本当にしんどい。でもいまから楽になれるから。たぶん目の隈はひどいことになっている。粉になったサイレースをヨーグルトに振りかける。混ぜて混ぜて味をひとつに溶け合わせる。ヨーグルトが好きなわけじゃない。吐き気防止と、摂取しやすくするためだ。だって今日はあなたが帰ってこないから。いつもは「なにしてやがんですか」って乱暴に止めるけど、今日のわたしにストップをかけるひとはいない。寂しくて、楽しくて。ザクザク切った手足が少しひりつくけど、生きてる証だからそんなに痛くない。ヨーグルトを口に運ぶ。プレーン味。嫌いな味ではない。山盛り混ぜたサイレースが舌にざらりと触る。足りるのかな、これ。不安になってブロンの箱も開けてしまった。とにかく飛びたくて仕方ない。あなたがいない夜だから。あなたがいないと寂しくてオーバードーズしちゃう、あなたがいないと楽しくてオーバードーズしちゃう、わたしのメンタル八方塞がり。ブロンはヨーグルトに適当に突っ込んで機械的に口に運ぶ。わたしにとってお薬はどこにでも連れて行ってくれる幸福のねじみたいなもの。ぴたりと合わさってわたしを何者かにしてくれる。あなたがいない夜だから。あなたが帰ってきたときわたしはくたばってるはず。死んでたらごめんね。遺書、残してるから読んでよね。あなたの恋人は幸せなうちに死んでるからさ。

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