夜、微睡むわたしたち。 お互いの髪に指を絡めあって、瞼が降りてしまわないよう抵抗して、ふと笑う。 黒くて白い髪が大好き。案外柔らかくて繊細な髪。 あなたもわたしの髪が好き。あなた好みに染まった、絡まりやすい髪。 「お前は寝なさい」 「ネズさんも」 「おれは暫くお前の顔を見ているから」 恥ずかしいことを平気な顔で言うところも大好き。 「だから、もう寝なさい」 詩人は一層優しい表情でそう言った。 髪を撫ぜていた指がゆっくり額をなぞり、瞼に降ってくる。導かれるまま目を閉じて、唇に降りてくる指を感じる。 微睡むわたしたち。柔らかい髪。優しい指先。わたしたちは間違いなく幸福だった。 - - - - - - |