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よるがはじまる



 ネズくんの手は冷たくて、でも優しい。ネズくんの瞳も色温度が低いけれど、とても優しい。細い腕がわたしを閉じ込めて息もできないほど強く抱きしめる。耳元で名前が囁かれて、それから夜毎の儀式が始まる。これはあまり好きじゃない。スイッチが入ったネズくんは少し乱暴になるから。手も瞳もいつもより情熱的なのに触れられるとぞっとしてしまう。本当に嫌なら拒めばいい。それができないのは、拒否の言葉を発したら彼がとても悲しそうな顔をするからだ。「ネズくん、」だから、せめてもの抵抗で小さく名前を呼ぶ。震えている声音が伝わればいい。こんな消えそうな声で呼ぶのは、そのたびにあなたは喜んで動きを加減してくれるから。「ネズくん」気持ちいいのに嬉しくない。「ネズくん」熱い手がわたしの皮膚を撫ぜる。「愛してます」そんな言葉、免罪符にならないよ。

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