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イスト


 お姉さんはなんでも教えてくれた。庭に咲くピンク色の花の名前、妹との仲直りの仕方、おれに似合うファッション、髪型、たくさん、なんでも。それなのにひとつだけどうしても教えてくれないことがあった。「どうしたらおれの恋人になってくれますか」そう問いかけるたびにお姉さんは困った風に笑って答えを教えてくれることはなかった。それなのにはっきりおれを拒否することもなくて、とてもずるいひとだと思った。嫌になるほど嫌なのに、彼女を嫌いになれない自分が、本当に嫌だった。

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