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フランジパニ



 セフレからのメッセージ受信音で目が覚めた。今日は会えなくなったらしい。なんでも急に彼氏とデートになったとか。へえ、お幸せに、なんて思いながら既読をつけるだけで返事はしない。
 あくび混じりに背伸び。時計を見ると12時を少し過ぎたところだった。だいぶ時間を無駄にしたな。妹に起こして貰えばよかった――と思ったけれど、そういえばあれから避けられてたんだっけ。もう3日も経つんだからそろそろ許してくれてもいいと思うんだが、まあそんなに簡単なものでもないだろう。オレだっていきなり知らない女に犯されたら根に持つしトラウマになる。たぶん。
 昼飯を作るのも面倒くさいのでデリバリーにしようとアプリを立ち上げる。ついでに妹の分も頼んでやろう。
「おーい」
 ノックしながら妹の部屋のドアを開けた。返事はない。
「なんか食うか、って……寝てんのかよ」
 きぃ、とドアノブが鳴いた。一歩踏み込むと部屋の左サイドに置いたデカいベッドで大の字になって気持ちよさそうに寝ている妹がいた。相変わらずだらしない格好をしている。エアコンを入れているから服を着なくてもいいという理屈らしく、このクソ寒いのに丈の長いTシャツを着ているだけだ。大きく開いた脚の間から水色の下着が見えている。
 バカだなあ、コイツ。
 そういう格好してるからオレに襲われたのに。
 ちょうど今夜の予定もなくなったところだし、ここは据え膳をそのまま頂こう。ダメな妹を躾するのも兄貴の仕事だ。知らんけど。
 ベッドに腰掛けてシャツを捲る。ラッキー、紐パンだ。細い紐に指をかけてしゅるりと解く。なんの抵抗もなく脱がせられた。オレ紐パン好きなんだよな。エロいから。
 薄い布切れをベッドの外に放り投げる。弛緩した脚をできるだけ優しく掴んで広げさせた。整えているのか元々薄いのか、邪魔がなくて舐めやすそうだ。さすがに起きるかなあ、とか思いつつ顔を寄せる。口の中に唾液が溜まってきた。興奮しているらしい。
 舌の腹でべろりとひと舐めする。ひく、と細い脚が僅かに震えた。オレと血が繋がってるくせに、日に当たったことがないみたいに白い脚。どうなってんだ。不健康でエロいと思う。舌先で襞を擽るみたいにしゃぶるとまた震えが走った。じゅるじゅると音を立てると「ぅ、あ」と寝言みたいな反応。まだ寝てんのかな。にしてはどろどろに濡れてきてるけど。
「はぁ、ん、あ」
 寝息が乱れてきた。そろそろ起きそうだ。絶対にヤバいのに興奮が先立って舌が止められない。硬くなってきたクリトリスを指先できゅうっと抓って刺激する。がくん、と細い膝が折れた。
「っえ、あ、え?」
「あ、起きた」
 さすがにやりすぎたか。
 妹は目を擦って身体を起こそうとしている。まさか兄貴が下を舐めているとは思わなかったようだ。二度見、三度見して、それからさっきまで血色の良かった顔色を真っ青にした。さあっと顔色が変わる様子は少し面白かった。
「なっ、あっ、」
「ごめん、まんこ貸して」
「……っ!? や、やだ、いやだ、どっか行け……っ!」
 オレを突き飛ばそうとする脚を掴んで引き寄せる。「いーじゃん舐めてやったんだからさ」「たっ、頼んでない、」正論。
「気持ちよかったろ?」
「いやだ気持ち悪い、ッ!」
「あんまり言われるとオレ様も傷つくんだけど」
「触るなクソ兄貴、いやだいやだ……っ、いや、っあ!」
 オレ似の瞳からぼろぼろと涙が溢れてきた。この間は見られなかった派手な泣き顔。ぞくぞくする。
 あんまりにもめちゃくちゃに暴れるので両足首を掴んで引きずり倒した。ふるふると震える太ももにマウントを取って思いきり性器を突き刺す。
「い゛っ、あ゛っ、や゛だあ゛っ!」
 妹の膝から下がピンと跳ねて悲鳴が漏れた。拒否する声とは裏腹に、そこはずぶずぶと根元までうまそうに飲み込んでくれた。
「いたい、いたいっ、い゛……っ!」
 腰を思いきり揺さぶって重めのピストンをする。ひと突きするごとに小さい身体ががたがた震えて哀れだ。
 口元を拭って唇を近づける。キスされそうになったことに気付いたのか、妹は下唇を噛んでこちらを睨んだ。そんなのお構いなしに噛み付くように口付けると「んっ、んうっ、」と苦しそうな息が漏れて、やがて弛緩して親嘴を受け入れる。だらりと力の抜けた唇を食んで、舌を絡ませて、唾液を混ざり合わせる。セフレとさえキスしないのに。まるで恋人同士みたいだ。
「きもち、わる、っ、しね、ほんと、しんで……っ」
 キスの合間に吐かれる呪詛に興奮が止まらない。あれ、オレってサドなのかなマゾなのかな。泣き顔とか罵倒とか、全部にぞくぞくして堪らない。もっと泣かせたいし罵られたいし、めちゃくちゃにしてやりたい。
「っはあ、オマエさ、っ」
「なに、っ、」
「好きな男とか、いんの?」
「……っ、か、かんけい、ないっ」
 ぎゅうとナカが締まった。「っ、はは」思わず笑ってしまう。ぐじゅ、ぐじゅ、ずこ、ずこ、と恥ずかしい音がひっきりなしに鳴るなか、衝動に任せて妹に話しかける。
「オレが嫌いならそいつのこと考えてろよ、ネズか? ダンデか? マクワでもいいぜ? っは、ァ、名前出したら締まったけど当たってんのか?」
「もうやだ、やだぁ……っ!」
「好きな男のちんこだと思えよ、そしたら少しはマシだろ?」
「喋んな、ッ、きらい、お前ほんと嫌い……っ!」
「兄貴に口答えすんな」
「うあっ、あっ、あああっ、」
 穿つごとにこの世の終わりみたいな声が出て愉快だ。子宮口をいじめるようにぐりぐりと動くと白い喉が反って、イったように見えた。強姦されてもちゃんと気持ちよくなれるもんなんだな、とか思う。
「おえっ、」
 ああ、また吐いた。なにも食ってないのか胃液だけがシーツに広がる。部屋全体の甘ったるい匂いと、饐えたにおいが混ざって頭がおかしくなりそうだ。
 叩きつけるみたいに抽送を続け、射精を待つ。泣きじゃくってひどい顔になっている妹を見ているといまにも出しそうだ。やっぱりサディストなのかもしれない。
「イく……っ、」
 しっかり宣言してから埒を明ける。
「あー……、ほんっとオマエ気持ちいい」
 両頬を包んで視線を合わせた。怯えたような、憎んでいるような、もう何色だか分からない瞳。せっかく褒めてやっているのに。
「きもち、わるい」
 オレに言ったのか独り言か分からなかった。
「しね、」
 やっぱりオレに言ったのか。
「バカだなあ、オマエ」
 また下腹部が熱くなってきて、妹の顔が強張ってくる。
「またしたくなるだろ」
 3日前と同じ展開。叫びそうになる小さい唇をキスで塞いでまた身体を揺さぶった。時間はまだまだあるんだ。ぼろぼろになるまで抱いてやる。

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