好きとか嫌いとか、そんなものはない。兄妹。ただそれだけ。生まれたときから一緒にいる。顔も性格も似ていないけど確かに血は繋がっていて、ただ本当にそれだけ。細かいことは知らない。仲のいい友人とか恋人とか、今日どこに出掛けていたのかとか、そういうことには興味がない。 「なに、え、な、に?」 まだ微妙に湿っている髪が床に広がる。オレが使っているシャンプーとは別の、甘い匂いが鼻腔をくすぐってぞわりとした。うつ伏せに倒された妹はぎりぎりまで首をこちらに回して必死にオレの様子を窺っている。 「まだ髪乾かしてない、んだけど」 けほ、と少し咽せながら立ち上がろうとするので肩を掴んで床に押し付けた。「なに?」なんだろう、どうしてこんなことをしたんだっけ。 「オマエさ、オレのことなんだと思ってるわけ?」 「……兄貴」 当たり前の返答。そう、オレたちは本当に兄妹。だから、 「だからって、その格好はおかしくねぇか?」 尻が隠れるか隠れないかくらいの白シャツ。たぶん下着はつけてない。風呂上がりにそんな格好で歩き回られるものだからこっちは気が気じゃない。視界の端にちらつく太腿とか、伸びた襟ぐりから覗く鎖骨とか、すっぴんのくせに血色のいい唇とか、そんなの、いくら妹でも。 「意味分かんない、離して」 「無理」 「は?」 「勃起したから無理」 「……はぁ!?」 シャツを捲る。やっぱり下着はつけてなかった。ちっせぇ尻、全然好みじゃねぇな。「気持ち悪い! やめてよ!」小さい手がシャツを伸ばして一生懸命隠そうとする。邪魔くさいから手首を掴んで捻り上げた。「いってぇ!」色気のない悲鳴だ。 「ほんとに意味分かんない、全然面白くない、やめろ、離して!」 「オレ遅漏だからしんどかったら悪りぃ」 ボクサーをずり下げてペニスを擦り付ける。妹の目がひとまわり大きく見開かれた。ああ、こうやって見るとオレと目は似てるな。嫌なことに気がついちまった。 「脚開け」 「……っや、やだ、」 拒否するなら仕方ない。無理やり開かせ、腹を抱えて少しだけ腰を浮かせる。小さい身体がもがくけれどまったく意味はなかった。膝が汗で少し滑る。 「ッあ゛、あ゛あ゛あ゛っ!」 めり、と肉を裂くように限界まで硬くなったものが挿入される。狭すぎて全く入りきらない。あ、やべ、濡らすの忘れてた。慌てて指先でクリトリスを弄ってやる。「う゛あ゛っ、きもちわる、あ゛、」捏ねるように愛撫するとじわじわとナカが解れてきた。胸の下で妹はがくがくと震えている。ぐちゃ、ぐちゃ、と徐々に交わる水音が大きくなってきて、興奮して息が熱くなった。 「っあー……、きもちぃ」 上体を起こして腰の動きを早める。油断すると下の身体が逃げそうになるので胸を鷲掴みにして揉みしだく。意外とデカくて更に興奮する。 「や゛だ、や゛あ゛っ! 死ねっ、死ねキバナっ!」 ぱんっ、ぱんっ、と皮膚のぶつかる音の隙間に罵倒が浴びせられる。ぞくぞくっとしてたまらない。そういえばお兄ちゃんと呼ばれなくなって久しいな、いつからだろう。ずんっと一番奥を突くと「お゛あ゛っ!?」と悲鳴とも嬌声とも取れない声が弾けた。 「兄貴のちんこ気持ちいいだろ、っ?」 「ほんと、やっ、むり、い゛っ!? クリやめて、さわんないで!」 ぐちゅ、ぐちゅ、ぬちっ、ぬちっ、たくさん色々な音がする。 「お゛え゛っ、」 えずきが激しくなった。唾液が床に溢れて汚らしい。せっかく洗った髪もまた汚れてしまう。 腰を掴んで膝立ちにさせる。尻だけ高く突き上げさせ、一層深く性器を突っ込んだ。妹の身体はもう力が入らないようで崩れ落ちている。 「げほっ、うえっ、」 びしゃり、妹は黄色い液体を吐き出した。つんと鼻をつくにおい。 「あ゛ー……っ、あ゛……っ」 もう死ねともやめろとも言われない。腰を突き出すと反射のように死んだ声が漏れるだけ。それなのにナカはオレを絞り尽くすようにぎゅうぎゅうとうねって絶え間ない快楽を与えてくれる。もしかしたらどのセフレよりも気持ちいいかもしれない――血の繋がりってこんなところで感じるものなのか。 「うあ、もー無理ッ」 火花が散ったように目の前がちかちかした。 「出すッ、出すからな……っ、妹まんこに中出しすっからな……っ!」 「し、ね……クソキバナ……っ」 「おあ……っ!」 後頭部を掴んで床に押し付ける。「けほっ」咽せると同時にぎゅんとナカが締まった。堪らず射精する。びゅるびゅると熱いものが膣内に溢れていって、妹の身体はずっと震えていた。 どさ、と妹が床に倒れ込んだ。汚れた性器を白いシャツで拭いて服を着直す。 「……死ね」 ぽつりと呟かれた言葉にまたぞくぞくとした。 好きとか嫌いとかそんなことはどうでもよくて、初めて向けられた憎悪に興奮した。 「髪乾かせよ」 憎しみを煽るように軽口を叩く。「し、ね」涙目で睨まれて、背筋が粟立った。そんな顔するなよ「なあ、」またしたくなっちまうだろ。 - - - - - - - |