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ユダの糸



 どうしてこんなことをしたのか分からない。どうやってここまで堕としたのかも忘れてしまった。
 目の前でネズは腰を抜かしたように這い蹲っている。オレは見せつけるように彼女の頼りない脚を大きく開かせた。結合部がよく見えるように。ネズは嫌悪感丸出しの目でオレを睨んで、次にそこをじいっと見つめる。馬鹿みたいだ。彼女の肩越しにニヤリと笑ってやる。ネズは少し後退った。「っは、彼氏が見てんぜ」耳元で煽るように囁いてやる。「や、いわな、いでっ」彼女は首を横に振って、まるで説得力なく喘いだ。声が小さくなったので、きっと唇を噛み締めているに違いない。だから顎を掴んでこちらを向かせた。涙目で、とろんとした瞳、だらしなく濡れた口元。は、と荒い息を飲み込むようにキスをした。唇を舌でなぞって、僅かに開いたところからねじ込む。弛緩した舌が甘くて気持ちいい。ぴちゃりと唾液の絡む音がして、彼女は嬉しそうに鼻についた声を出す。脚を掴んでいた右手を下腹部に伸ばして「オマエ知ってた? コイツ、ここ弄るとスゲー締まるの」と突起を擦り上げた。びくん、と小さい身体が大きく跳ねる。「あっ、そこだめ、だめっ」オレの指の動きに合わせてなかがきゅうきゅうと締まり、声が出そうになった。ネズはというと、目を瞑るなり耳を塞ぐなりすればいいのに、まだこちらをじいっと見ていた。碧い目の奥に欲情の炎がみえる。オレは楽しくなってしまって、弄る指先の動きをさらに激しくした。大泣きするように喘ぐ彼女にはもう羞恥心など残っていないように思えた。しばらくそうしていたあと、腰を掴んで後ろに寝転ぶ。「ほら、好きに動いてみろ」息を整えたあと、小さい両手が腰の脇に置かれた。仰反るようにして、ゆっくり腰が動き始める。向こうで、ネズが大きく息を吐いたのが聞こえた。興奮しているのを悟られないよう、必死なようだ。いまさらそんな風に装っても無駄なのに。腰を前後に動かしながら「あ、あっ、きば、なぁ」と可愛らしく名前が呼ばれた。恋人の目の前で違う男の名前を呼ぶなんて、どんな気持ちなのだろう。肩がびくりと震えて彼女が果てたことを知らせる。「も、むりぃ」動きを止めて、オレを振り向いた。その目は期待に濡れている。またオレは笑いを抑えきれなくなる。「オレはまだ」と強く腰を掴んで今度は上下に激しく動かす。好き勝手にすることは気分がいい。「ひゃっ、あっ、は、あっ! やだやだっ、これ、やっ!」ぱんぱんと肌のぶつかる音がする。小さく、ジッパーを下ろす音が聞こえた。肘をついて身体を起こし、ネズの方を見やる。案の定、ひとりでシていた。いよいよ笑いが止まらなくなる。「アレやろうぜ」悪戯心に火がついて、ネズをさらに惨めな気持ちにさせたくなった。「やだ、やだやだ」逃げそうになる腰をまた掴んでグラインドさせる。こいつはこの動きにとても弱い。きっと彼氏だって知らないはずだ。だから見せてやるよ。「や、あ、ああっ、あっ」一際高い声のあと「キちゃう……っ!」教えた通り、きちんとそう呟いてがくんと身体を張る。ぷしゃ、と透明な液体が溢れてオレの太腿を濡らした。ネズは呆然とこちらを見ている。「はは、スゲーだろ。コイツ、潮吹けるようになったんだぜ」オレの言葉に
またなかがぎゅうと締まった。「う、ごかないでっ、あっ、あっ!」イッたばかりの敏感な身体を再度揺さぶる。「オレがまだだからもうちょい」もうちょい、見せつけてから。交わる水音が激しさを増す。「は、う、キバナぁ、き、ばなぁ!」恋人の目の前で犯されるのってどんな気分だ? どういう気持ちで恋人じゃなくてオレの名前を呼ぶんだ? ――なあ、ネズ、オマエ、その気になればオレを殴ってコイツを取り返すことできるよなあ?
 どうしてこんなことをしたのか分からない。なぜこんなことをしたのか、誰にも知る由もない。

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