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ケダモノ



 迂闊だった。
 新しい子が仲間入りしたので久しぶりにワイルドエリアで遊ぼうと思ったらスマホのGPSが狂って迷子になった。当然手持ちはレベルの低い子たちばかりなのでうっかりポケモンにエンカウントすれば痛い目に遭う。地理音痴のわたしはなんとなくうろ覚えで「この辺なら大丈夫だろう」というところを彷徨いた。それが間違いだった。
 モンスターボールがポケットから落ちて草むらに転がり込む。わたしはなにも考えず「あ、落としちゃった」と誰も聴いていない独り言を言いながら草むらに分け入った。しゃがんで探していると、後ろでなにかが息をしている音が聞こえた。明らかに人間のそれではない息音に、わたしは息を潜める。わたしに気付かず通り過ぎてくれ。とそのとき、運悪くスマホが鳴り始めた。がさがさと背後で音が迫ってくる。わたしはモンスターボールを探すのも忘れて逃げ出した。
「いっ、た!」
 どさり、後ろからそのポケモンがわたしを押し倒した。手持ちにいないポケモンだ。どう扱えばいいのかわからない。それに人気のないエリアだ。誰かに助けてもらえるとも思えない。
「ど、退いて、いい子だから」
 できるだけ優しく振り払おうとしてもわたしよりずっと大きい身体には勝てない。ふーっふーっと荒い息遣いが耳元で響く。――マズい、きっと発情期だ。いまの時期はポケモンの巣に近づくのは注意しないといけなかったのに、なんて考えていたら服を破られ、長い舌がぬるりと背中を這った。「ひっ……!」ぐるる、と獣のような唸り声。怖くて泣き出しそう。そのまま器用にわたしを裸に剥いてしまって、それはわたしに覆い被さったまま腰を動かし始めた。地面についた膝と肘が痛い。そいつはまるで人間との経験があるかのように振る舞った。わたしの脚を無理やり開かせて、粘液の出ている人間と同じように硬い、でも人間のとは全く形の違うそれを下腹部に擦り付ける。
「だめ……っ!」
 人間の言葉なんて通じないのにわたしは懸命に拒否する。後ろからがっちり腕を掴まれていて、もう逃げ場なんてない。また後ろから唸り声が聞こえて、まったく慣らされていないわたしのそこに熱いものが突き刺さった。
「あ゛、あ゛っ!?」
 人間ともそれほどしたことがないのに、まさかポケモンに犯されるなんて。痛い、怖い。脳内で火花がばちばちと散る。そいつはわたしを殺しそうな勢いでピストンを始めた。獣臭い。肩に立てられた爪が痛い。それでも、ぐちぐちと淫らな水音を立ててなかを抉られるたび、痛みは徐々に快楽へと変わってゆく。脳の奥がじんと痺れるような快感が走った。
「あ゛ーっ、あ゛っ!」
 絶対に人間とでは味わえない過ぎた快感にわたしの口からは下品な声が洩れる。ずるりと熱いそれが引き抜かれるたびに身震いし、途端にいちばん奥が犯されて歓喜に打ち震える。駄目になる、わたし、駄目になっちゃう。
「ん゛っ、あ゛、や゛だぁ……っ!」
 もはや抵抗できないほど身体は籠絡されていた。それでもまだ少しだけ残っている理性が抗う。こんなのおかしい、どうしてポケモンなんかに犯されて感じてるの。でも気持ちいい、誰も見られていないし、わたしがいくら叫んだところで助けられない、このまま、気持ちいいまま。
「はっ、ぁ、あっ」
 止まらない快感に身体が本当に駄目になる。腰だけを突き出す形でわたしは必死に理性を保とうと頑張った。けれどポケモンのにおいといやらしい音で脳がすっかり蕩けてしまう。
「いっ……!」
 どすっ、と奥まで突かれたところでとうとうわたしは気を遣った。それでもそいつは動きを止めない。途切れることのない快楽にもうわたしは抵抗を諦める。
 ああ、駄目になっちゃった、わたし。
 スマホがまた鳴り始めた。顔を横に向けると手の届く距離にそれはある。わたしは震える腕を必死に動かして電話をとった。相手は恋人だった。どこにいる、遅いから心配だという彼。
「わたし……駄目になっちゃったぁ……」
 へへ、と笑い声が洩れた。向こうで恋人がなにか叫んでいるが聞こえない。それよりもぬるぬると交わる体液に気を取られ、わたしはまた気持ちよくなる。びゅくびゅくとなかで精液が弾けた。そいつはそれが流れ出さないように奥に奥に押し込む。ポケモンに中出しされちゃった、わたし。もうきっとなにもかも駄目なんだ。恋人の声を聞きながら、わたしはがくりと崩れ落ちた。

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