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「#エロ」のBL小説を読む
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 オレは罰を受けていた。彼女の気に入らない香水をつけていたという理由で。オレの頬を叩いて「近寄らないで」と彼女はいった。そしてとても険しい顔で「なんでわたしのいうこと聞けないの」とオレを睨んだ。その目がとてもすきで、オレはわざと間違いを犯していたのだった。「悪い」軽蔑の目が嬉しくてぞくりとする。「なんでもするから許してくれ」いつもならここで彼女はオレを蹴り飛ばしてお仕置きをくれる。オレは喜んで勃起する。勃ち上がったそれを彼女はつねって、噛んで、さらに痛みをくれる。オレは涎を垂らして歓喜する。お仕置きは大好きだ。だから、オレは悪い子であろうとする。だがその日は違った。「お仕置きしなきゃだね」と彼女はニヤリと笑って「じゃあ、それ、しばらく触らないで」と性器を指さした。予想とは違った仕置きにオレはなんと答えればいいのか分からない。「ひとりでするの禁止。じゃ、帰る。次会うときは連絡する」そういって彼女はあっさり帰っていった。それからオレは彼女の残り香に苦しめられた。目を閉じると卑猥に微笑む彼女を思い出すので現実逃避もできなかった。お仕置きをしてもらうはずだったのに、いじめてもらえるはずだったのに。じくじくと熱い性器はもはやごまかしようもないくらい大きくなっている。あんな小娘の言いなりになっている自分が情けなく、そして興奮した。蹴られたかった、噛まれたかった。彼女の口淫は乱暴で粘着質で気持ちがいい。咥えて犬歯で齧るように痛みをくれて、それで――「ッ、うぁ、っ」行き場のない熱に声が洩れる。駄目だ、なにか別のことを考えよう。オレはとりあえずベッドに横になって身体を丸める。なにか、なにか……ぐるぐると掻き回される脳内はもう彼女以外のことを考えられなくなっていた。そうだ、このベッドで何度も彼女と交わった。もう駄目だ。我慢ができない。命令されたばかりだというのに、オレは射精したくてだらしなく腰を動かしていた。ベッドにうつ伏せに寝そべり、肘をつく。部屋に残る彼女の残り香を一生懸命追いながらシーツに腰を打ち付ける。どうせバレない、どうせ、いやバレたって構いはしない、そしたらもっと酷いお仕置きをくれるんだから。「はっ、は、あっ、あっ」へこへこと情けなく腰を動かし続けながら、彼女に嬲られることばかり考える。次はどんなことをされるだろう。次はなにをされるだろう。次はどんなご褒美をくれるだろう。彼女の淫猥な笑みを妄想した途端、下着のなかに射精してしまった。どくん、と心臓。息を整えているとスマホが鳴り始めた。ああ、彼女だ。言いつけを破ってしまったオレを戒めてくれるんだ。オレは荒い息のまま電話に答えた。「ばーか」電話の向こうで全てを察している声。「ごめんなさい」なんでもします、なんでもするから、お前の手でオレを虐めて。

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