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アルカナの葬送



 あたしのお葬式でもネズは泣かなかった。
 対してキバナさんは周りが驚くくらい泣いてくれた。そんなに交流があったわけでもないのに。彼はハンカチを二枚駄目にするほど泣いて、結局立っていられなくなってどこか別の部屋に逃げてしまった。ネズはそれを黙って見ていた。
 マリィちゃんはお別れの手紙を読んでくれた。あんなことした、こんなことした、もっと遊びたかった。そういって静かに泣いた。途中何度も言葉に詰まる様子は、他の参列者の涙をも誘った。ネズは黙ってそれを聞いていた。
 ダンデさんもマクワくんもメロンさんもカブさんもヤローくんもオニオンくんもポプラさんもホップくんもビートくんも、みんなみんな泣いてくれた。あたしのために。ネズは爪を弄りながら、それらをじっと見ていた。
 最後にネズは黒い棺に横たわるあたしの頬の横に百合を手向けて「寝ているようですね」とお決まりのことを言って、じっとあたしを見ていた。死化粧をされたあたしの顔は生きているときよりずっと顔色が良いだろう。もしかしたらそれをおかしく感じているのかもしれない。とにかく、ネズはちっとも涙を流さなかった。
 棺の蓋が閉まる頃、ネズが「じゃあ、また」というのが聴こえた。あたしにしか聴こえない声で。

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