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天牛の昼



 太陽は青空の真上、ギラつく陽射しを閉ざすためぼくは遮光カーテンを閉める。誰もいないぼくだけの時間、ぼくだけの部屋。昨日、あなたと握手したことを思い出す。バトルに負けたあなたは悔しそうに、でも清々しい笑顔で握手に応じましたね。小さい手でした。思わず力が入ってしまって、驚かしてしまったことを謝りました。あなたは困ったように笑いました。ぼくの脳裏にはずっとその困った顔、掌には小さい手が居残っています。あなたの手の暖かさを思い出すだけで、浅ましいぼくのそれは勃起してしまいました。誰にも聞かれていないのに、音を立てないようにズボンのファスナーを下ろす。下着から先走りが染みていて、それを取り出して先端を指で擦る。あなたと握手した手、あなたに触れた手。妄想のなかで何度もあなたを犯しました。それでも、あなたに触れたのは昨日が初めてでした。あなたの皮膚を這いずり、涙を流す姿を何度も妄想しました。昨日のあなたの悔しそうな顔は、頭のなかのあなたと同じでした。あなたに触れた手で性器を握り、上下に扱く。慣れた行為。いつもあなたを妄想します。弱々しいあなたを、ぼくは力いっぱい抱きしめる。あなたは嫌々ながらぼくに抱かれ、長い爪をぼくの肩に立てるのです。「っ、はぁ」性器を握る手に力が入る。「マクワさん」負けた際のか弱い声を思い出してさらに昂る。あなたがぼくの名前を呼んだ、ああこんなに嬉しいことはない、それも、力ない声で。妄想のなか、あなたはいつも泣いています。ぼくは力で、言葉であなたを支配します。ぞくぞくと背中を打つ快感に背筋が丸まって前髪が乱れ、視界が狭くなった。ぼくは目を閉じる。この手はあなたの手、あなたのなか、あなたを抱くぼく。あなたはぼくの上で仰け反り、白い喉を晒すでしょう、きっと。ぼくは爪を立ててあなたの腰を掴む。粘膜が擦れて気持ちいい。扱く手が止まらない。あなたの泣き出しそうな顔を強く思い返す。「マクワさん」涙を堪える笑顔と声を反芻する。「あっ、」どくりと大きく脈打って、ぼくは射精した。白い液体が指に絡む。いつかあなたのなかにこれを注いでみたい。ぼくの頭のなかでは、いつもあなたはこれを受け入れています。いまあなたはなにをしていますか。まさかぼくが真昼間からこんな汚れた行為をしているとは思わないでしょう。それも、あなたを凌辱する妄想で。またあなたを負かし泣きそうな顔を見て、それからいつか妄想通りのことをさせて貰います。あなたが泣きそうなのはいまのうち、いつか泣かせてみせますから。ぼくの手で、声で。ぼくは汚れた手を見つめながらまたあなたの顔を思い出していた。


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