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王子で狼



 夜中、オレはキミの寝顔を見ている。死んでいるみたいに安らかな表情。眠れる森の美少女。白い頬を指でつついてみる。くすぐったそう。
 御伽噺ならキスしてその目を覚まさせる。いまそれをしないのは、キミの寝顔を見ているのが心地よいから。
 たまに寝言でオレの名前を呼ぶこと、ちゃんと知ってる。ダンデさん、と呼ぶ赤い唇は誰にも奪わせない。
 オレを信頼しきって、油断して深く眠って。オレが狼だったらどうするつもりだい? 跡形もなく食べてしまうことだってできるのに。
 御伽話でもないのに、キスしてその目を覚まさせる。目が覚めたとき、キミはなんていうだろう。愛情で火を灯すとき、キミはどんな顔をするだろう。
 大好きなキミの寝顔を自分の手で侵す喜び。歪んだ愛情。
 さあ目を開けて、唇を開いて、ダンデさんと名前を呼んでくれ。狼だと悟られないよう微笑んであげるから。安心して愛情を身に受けてくれ。

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