黄昏、迫る夕波、空に浮いて鳥になり、水中の魚のように。徐々に壊れて、自由になるわたしたち。瞼の裏は赤く燃えて、ワルツを踊るみたいに情熱的。風がとても強くて、あなたの髪は暴れている。 「怖いですか」 あなたは優しく囁くけれど、絡まった赤い糸はもう二度と解かない。 夜になる前に、赤いうちに行かなくちゃ。わたしたちを永遠にするために、行かなくちゃ。 ねえお酒でも飲んで震える足を誤魔化そうか。どうしようか。悲劇的なわたしたちに酔おうか。どうしようか。 一歩一歩進むごとにわたしを抱き締めるあなたの腕に力が入る。あと数歩で靴の音も聞こえなくなるよ。 「最期に歌ってほしいな」 あなたは微笑む。「そんな余裕ありませんよ」その声は少し震えているようだった。 歌うように踊るように、わたしたちは一歩踏み出した。 過激すぎるふたりをいまからみんなに見せてあげる。不意打ちのダンスに世界中が震えればいい。 靴の音、鳴り響く、瞼の裏は真っ赤。 - - - - - - |