火照った身体を冷たいシーツに沈ませて、おれに恋した女を喘がせる。女は泣いていた。 「泣かないでおれを見て」 そう囁いて窓を見れば星の降る夜。恋人たちが愛を見るような流星群。おれの下で女は泣きながら腰を振った。いまだけは恋人同士だと自分に言い聞かせるように。 鳴きながらおれを見て。 喉が枯れるほど、弦が切れるほど、鳴いて。 おれに恋する女は涙で顔をめちゃくちゃにしながらそれでも喘いでいた。だって恋する男に抱かれるのはいつでも気持ちがいい。それくらいなら頭の悪いおれにでもわかる。 遊びで抱いているわけじゃない。星が降れば、きっとこの心も決まると思ったから、だから。綺麗に決定できない癖のあるおれだから。恋人同士が密になる夜、場違いなおれたち、冷たいシーツ。 「わたしを見ないで」 顔を隠そうとする手をとればとても冷たくて。 「おれを見て」 もっと鳴いて。おれを煽って。 そうしたらそこから恋人が始まるから、きっと。いまだけは白に溺れさせてあげる。 「さよなら」 眩しい朝に耳元でそう聞こえた。身体を起こした時に女はもういなくて、冷たいシーツだけが残っていた。 根拠のない、また会えるという願望を胸に、おれは星降る夜を思い出す。もう一度同じ機会があれば、今度こそ綺麗に決定できるはずだから、恋人同士になれるはずだから、だから、もう一度会わせてください。 - - - - - - |