何回も、何回も。
右足で壁にボールを当て続ける。
無機質な白い壁に当て続ける。
毎日毎日当て続けられる壁はもう傷だらけで、申し訳ない。それでも何回も何回も、ボールを蹴る理由がある。
いつからだろう。狂い始めたのはいつからだろう。誰が狂い始めたのだろう。気付いたときにはもう、みんな、狂っていた。
おい、こいつらなんか可笑しいぜ茂人。茂人?どうした、おい、夏彦。お前もどうしちまったんだ。ヒロト、風介、お前らまで、それ何だよ、何持ってんだ。父さん、父さん、どうしたの父さん、いつもと違うよ、何言ってんの。
可笑しいのは君だよ。
そうか、オレが可笑しいのか。早くみんなと一緒にサッカーしなきゃ。茂人は身体が弱いからちゃんと見てやんなきゃな。ああ、父さんはグランを見てる。父さんに認められるにはサッカーが上手にならないと。ガゼル、お前には絶対負けねえ。ヒートもネッパーも、お前ら分かってるな。勝つのはオレたちだ。勝つのは――
「…………」
てんてん、と転がるボール。
あれ、オレ何してんだ?早く蹴らなくちゃ。早く強くならなくちゃ。強くなってジェネシスに。
「…いつか」
また、サッカー出来るよな。
なんて。
まるで今オレがしているのはサッカーじゃない、みたいな
お題 永遠回帰
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