それを言った瞬間、いつもは無表情で何を考えているのか分からないような奴の目が驚いたように見開いて、綺麗な青色が一層光って見えた。
「本気で言っているのかい?」
ああ、と頷くとこいつ、ガゼルはひとしきり笑ったあとに妙に強張った顔で「冗談はやめなよ」と言った。
「こんな冗談お前には通じねえだろ」
「…はっ、どうやら本気みたいだね」
やっと信用したらしいガゼルは目を伏せ、自身の前髪を乱雑に梳いた。
「プロミネンスのキャプテンが聞いて呆れる、君の部下たちはどう思うだろうな」
「まずまともには見られないだろうな、気味悪がって終わりだ」
「よく分かっているじゃないか」
男が男を好きだなんて。ましてやその好いている相手が、ガゼルも、もちろんオレも嫌い(でなければならない)グランなのだから。だがオレにはこの感情を忌み嫌うことが出来なかった。出来る筈がなかった。
「君も堕ちたものだ」
ガゼルはおそらく、多分きっと、オレのことが好きだ。確信はないけれど、オレを見るガゼルの瞳を知っている。オレがグランに向ける瞳と同じだから。
「…後悔するよ」
「ああ…そうだな」
暗く、深海の色を映すその瞳が何を語っているのか、何を伝えようとしているのか、オレは全てを理解していた。だけど、それでもオレは、
誰が報われるんだろう