※サソデイ前提


「デイダラ。お前はこれから、トビと行動してもらう」


そう告げると、彼は分かった、と予想と違う反応を示した。正直拍子抜けしてしまった。それは、あの傀儡師である人形のことを誰よりも慕い誰よりも愛していたのは目の前にいる彼だからである。
彼を幼い頃から自分が立ち上げたこの組織にスカウトしたときからずっと二人一組のペアとして組ませてきた。最初の方は本当にどうなることかとひやひやしていたものだ。何故ならあの傀儡師は短気でせっかちで気が短かった。おまけに片方の目の前の彼もプライドが高く好戦的なので、一度競り合えばそれは組織全体をも巻き込む大事になったものだ。しかしそれも今となっては懐かしく思える。


あの赤髪の傀儡人形は、最愛の相方を残して逝ってしまった。


この忍の世に産まれてしまった以上は仕方の無い運命なのだ。ましてや「暁」というこの組織は常識外れの連中が集まった組織。しかし全員が、この世界のはみ出しものとして集まった。少なくともオレは、仲間だと思っている。その一人が死んでしまったことは勿論衝撃だが、オレよりもショックを受けたのは彼なのだ。


「…なんだ、やけにあっさりとしているのだな」

「うん?」


気が合うのか合わないのかよく分からない二人は、時が経つにつれ随分と息の合うコンビになった。同時に、愛し合う仲にもなった。本人たちは一切口に出してはいないがオレにはすぐ分かったのだ。


「悲しいか?」

「うん」

「泣かないのか?」

「うん」

「何故」

「だって旦那が、悲しくなっちまう」


まだ幼くとも彼は立派なS級犯罪者。そんな彼に泣かないのかと聞くのも可笑しなことだがオレは彼に泣いてほしかったのかもしれない。


「旦那は優しいんだ」

「サソリが?」

「オイラが泣くと旦那は悲しいって言った。オイラが笑うと旦那は楽しいって言った。オイラがいると旦那は嬉しいって言った。せっかく死ねたのに旦那を悲しませちゃ駄目なんだ。うん」

「………」


彼は、いつもの彼とは思えない、憂い帯びた表情で。やけに大人びた表情だった。


「サソリの旦那はようやく死ねたんだ」


ずっと苦しんできた。
ずっと独りで、心も身体も殺して。
争うことが嫌いな癖に、ずっと
戦い続けてきた。


「サソリの旦那はようやく幸せになれるんだ、うん」


そう言って微笑む彼の瞳は遠くを見続けていた。




永久の眠りと、愛を


誰よりも奴の幸せを願い、誰よりも奴の死を祝福したのだ















お題 空想アリア




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