サソリの旦那が変
「デイダラ、すまないが少し頼まれてくれないか」
そうリーダーに言われてアジトを出たのがまぁ大体2日前。アジトに何事もなく帰還したオイラの目の前には何故か5人のリーダーが逆さまに吊されていた。え、なんですかコレ。うん。
リーダーは元々無表情だから、その無表情で顔面ピアスの男が5人も扉を開けた瞬間視界に入るわけだ、そりゃあびびるだろう。オイラがおかしいんじゃない。S級犯罪者だってびびるわ。
ちなみにもう1人、畜生道の姉ちゃんは下で小南姐さんと傍観してる。ちょ、助けなくていいの?いやそれよりオイラは何故こんな状況なのか知る必要がある。
「うん、何だいこれ」
「帰ったか、ご苦労だった」
「いや、あの、え、楽しい?」
何処まで冷静なのこの人。
てか人って言っていいのかな、うん。
他のメンバーは何も思わなかったのだろうか、仮にも暁のリーダーが逆さまに吊されてる事態に。
「オイラ暁抜けていい?」
「聞け、これは決してオレが望んだことではない」
「リーダーが望んでやったことならオイラはとっくに此処にはいないぜ」
暁のリーダーともあろう人が、と取り敢えず見てるだけで可哀相になってきた。まず降ろしてやろうとリーダーに近付いたときだった。
「デイダラぁ!!」
「へぶっ」
え、えええ
「ぐふっ…だ、旦那」
「……」
いきなり現れたと思えばサソリの旦那は思いっきりタックルしてきた。今の溝入ったって。でも傀儡とか砂鉄とかが飛んでこなくて良かった。うん。
それにしてもタックルしてきた勢いのままサソリの旦那はオイラの腰に巻きついたまま離れない。何だこれ。
「あの…だん」
「てめぇデイダラアアァ」
「ぶっ!!なんで!?」
いきなり顔を上げたかと思えば胸倉を掴まれてぶん殴られた。え、痛いんだけど!!
「な、何すんだよ旦那いきなり!!」
「お前…それは何だ」
「何が、うん」
「これだ!!」
「いって!!」
旦那がオイラの頬を指でつついて(つつくっていうか刺して)、また脇腹の辺りを抑えられるとそこまでじゃないけどビリ、と痛みが走った。どうやら戦闘中に脇腹の辺りを相手のクナイか何かが掠めて、頬にも術が当たったんだろう。気付かなかったからそこまで意識するような痛みではなかったんだけど。
「大したことねぇよ、こんなの唾つけりゃあ…」
すると旦那に思いっきり睨みつけられた。本気で恐ろしい顔だ。なんか禍々しいチャクラ感じるんですけど、うん。
「お前は誰のモンだ?オレのだろうが」
「うん?」
「顔に傷なんか作りやがって…こうなったのもアンタのせいだぜ?リーダー」
色々ツッコみたいんだがサソリの旦那はまるで傀儡、自分の芸術品に傷が付いたみたいな顔をしてオイラの頬をするする撫でながら尚も吊されているリーダーを睨む。どうやらサソリの旦那がリーダーを奇襲したらしい。しかし何故、うん。
「デイダラに単独任務なんか押し付けやがって…何かあったらどうしてくれる」
「ちょ、旦那…」
「止めるなデイダラ。可愛いデイダラのことだ、断れなかったんだな?優しい奴だ、お前は」
「……」
「こんな可愛いのを単独任務なんて危険な場所に放り出してみろ、敵のむさ苦しい男共に良いようにされるに違いない」
だ…
誰だ…
リーダーもリーダーのくせに吊されたままだし。なんだかんだリーダーは組織のみんなが好きなんだと思う。聞いたことないけど。それよりこのイカれた旦那どうしよう。うん。
「旦那…きもい、うん」
「!!?」
間違いなく愛
反抗期デイダラ
旦那がきもくなった