グラバン0


ぎり、

背は確かにコイツより小さいけど、それほどの差は無いと思ってた。でも今壁に追い詰められて片手で、オレの首を絞めているコイツは、少し足が浮きそうなくらい片手でオレの身体を持ち上げてるコイツは、果たしていつからオレやガゼルの届かないところにいたんだろうか。

「何考えてるの」

別に、ただ、お前は本当、人間じゃねーんじゃないかって。あ、宇宙人だったな。オレも。
かはっ、とオレが苦しげに息を吐き出すとさも楽しそうな顔をする。

「何を考えているんだい?勝手に雷門に接触して…そんな命は出してないだろう」

「ケッ…お前の言いなりになると思ってんのか…おめでたい頭だなグラン」

「…ああ、思ってないよ。君は、とても言いなりになんて」

ならないものね。
何故かそう呟くグランは一瞬、哀しそうに目を伏せた。

「ガゼルは…どうだろうね」

「…!」

にや、と笑うグランに、全身の血が冴えていくような感覚に陥った。
やめろ、やめてくれ、ガゼルには。ガゼルには手を出すな。

「…ああ、バーン。君はガゼルが大好きなんだねぇ…」

「や、めろ…やめてくれ…」

「本当…むかつくよねぇ…」

ぎり、ぎり、
オレの首に指を食い込ませていくグランが泣きそうな程に小さく見えて、ごめん、ごめんなヒロト、とオレは呟くしかなかった。




堕ちていく

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