革命のタックル
世界というのはおどろきにみちているんだよ、
と田中くんはめがねを押し上げながら言うが、わたしからすれば彼がなにかにおどろいている状態というのをついぞ目にしたことがないわけで、
「信じられない。田中くんともあろうものが世界におどろかされているなんて」
「うーん。前からおもっていたのだけれど、きみはぼくのことを買いかぶりすぎているね」
「そうかなあ」
なにしろわたしは田中くんにおどろかされっぱなしなのだ。
まずこの凡庸なわたしが彼という完璧な少年の友人になれたということからして驚愕の事実。その少年が今、めがねの向こうの奥二重の目でわたしをやさしく見守ってくれているというのも驚愕の事実。
「わたしも田中くんをおどろかせてみたいなあ」
「いつでもどうぞ?」
にっこりわらうその余裕が憎い。
どうしよう。どうしたら彼をびっくりぎょうてんさせられるだろう。ない頭を無理にしぼって考えたあげく、なにやらオーバーヒートしたように「うむむむむむ!」となったわたしはいつの間にかわけもわからず田中くんに突進し「おりゃあああああ!」とタックルをかましていた。
「……え、なんで体当たり?」
わたしの下敷きになった田中くんは呆然としている。その頬がすこし赤くなっていたのでふしぎに思ってさわってみると、もっと赤くなってしまった。ぷいと顔をそむけて、びっくりしたなもう、と震える声で彼はつぶやいた。
なんだかよくわからないがおどろかすことに成功したようだ。よかったよかった。
20100703
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ありきたりですいません
背景はなくてもぜんぜんいい気がします
小説本文だけじゃなくて、全体の基礎レイアウトとして使えるかもしれないし使えないかもしれない
文章はてきとうに書きました
ずらずら書いても見にくくならないよ、ということが示せていればいいんですがどうでしょう
20100704