いわくつきカノジョ
※双子夢主

 その日、私は妹の部屋で服を物色していた。一卵性の双子だが、好みはこうも違うのかとか思いながらガーリーな洋服を取り出す。私は比較的、黒とか紫とか青とか、落ち着いた色を選ぶって言われる。比べて妹は白とかピンク、水色といったパステル調のいかにも女の子らしい服が多い。こんなことをして怒られないか?って?大丈夫、今頃妹も私の部屋で同じように洋服を物色しているところだ。
 いつも妹が着ているようなコーディネートにし、服を着てみる。うん、ピッタリだ。さすが一卵性、こういうところは似るのね。

「っていうよりも、こんなフリフリ着たの初めて……」

 妹が持っている服の中でも私が着ても恥ずかしくない服を選んだつもりだが、やっぱりこんなにフリルがついたモノを着るのは恥ずかしい。あとで変じゃないか聞きに行こうと考えながらメイク道具を取り出す。メイクする姿は見慣れているので、ささっと済ませて鏡を見る。我ながら完璧だ、完全にこれは妹である。

「……お姉ちゃん」
「あ、終わった?ってうわ!なにその格好!」
「お姉ちゃんこそ!ダサいよそれ〜!」

 顔は普段の私らしく仕上がっていた。しかし、どうしてそうなるのか服のコーディネートがはちゃめちゃだ。慌てて自分の部屋から適当に服を取り出して妹の部屋向かえば、妹も同じことを考えていたようだ。

「これ着て」
「お姉ちゃんもね」

 ぽんと渡された服に袖を通す。あ、これ妹だわ、なんて思いながらも服装はとてつもなく恥ずかしい。

「お姉ちゃんってデキる大人目指してるの?向いてないのに」
「うるさいな!もー!早く行くよ!」
「あはっ、ごめん!」

 これまたガーリーな水色を基調としたパステルのカバンを手に取って私は家を出る。妹は黒に紫が映えるショルダーバッグ。行き先は逆方向。しかし目指すところは同じである。つまり、デート。

 ことの発端は妹の彼氏を聞いたときだった。「松野一松って言うの!もうめちゃかわ!」なんて顔を赤らめていう妹は置いておいて、私は持っていたマグカップを落とすレベルで驚いた。

「あの、私の彼氏、松野カラ松っていうの」
「は!?!?」

 妹も同じようにして驚いていた。六つ子だということは聞いていた。しかしなぜかカラ松は会わせてくれないし、私も多少は興味があったけど無理に会いたかったわけでもなかったから、他の兄弟のことは全く知らない。それは妹も同じだったみたいだ。そして彼女は閃いた!と悪い顔をした。

「……あのね」

 彼女が話した内容はこうだった。私カラ松さんに興味がある、お姉ちゃんも一松くんに興味あるでしょ?だから、デートの日程を被せて、私たち入れ替わらない?と。
 気は引けたが、もちろん断るわけもなく、私たちは即座に連絡をとった。その入れ替わりが今日のわけだ。

 そんなこんなで、わけありデートが始まりを告げる。

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