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俺に見せてよ -1-

 トキヤと嶺ちゃんと俺、3人での共同生活が始まってから早一ヶ月。嶺ちゃんはほんとの兄ちゃんみたいに優しいし、誰の目も憚らず可愛い恋人と一緒に暮らせるんだし、不満はないよ。――ただひとつ、とっても重要なことを除いてはね。

 重要なことっていうのはもちろん、トキヤとの性事情だ。二人暮らしでやりたい放題だった寮や、お互いひとり暮らしでこれまたいつでもヤれる状況だったマスタコース前から比べると、今が一番セックスしにくい。トキヤは嫌がったんだけど一度嶺ちゃんの留守中に我慢できなくて盛ったら、いざというタイミングで嶺ちゃんが帰宅して…後はもう、トキヤのお説教だよ。挙句の果てに『確実に寿さんが泊まりのロケの日しかしません!』って宣言されて、でもそんな機会そうそうないじゃん。最後にセックスしたのなんて2週間前だよ。俺はもう限界。だからね、今日、嶺ちゃんが遅くなるって聞いて、チャンスだと思ったんだ。
 切り出すタイミングは夕食後、トキヤが淹れてくれたコーヒー片手にソファでくつろぐこの時間。


****
「ねぇトキヤ」
「はい?」
「お前ってオナニーした事あんの?」

 俺はさぁ、別に普通に聞いただけだよ。ていうか男なら誰だってこれくらいのこと友達と話すよね?なのにトキヤは動揺しまくったのか、ふーふー冷ましてた淹れたて熱々のコーヒーをごくんと飲み込んじゃった。

「!! っ、げほっ、こほ、……はぁ、は」
「わぁぁトキヤ大丈夫?」

 プライドが許さないのかなんとか吹き出すことはなかったものの、かわいそうなくらいにごほごほ咳き込んじゃってるトキヤの背中をさすってあげる。そうしたらようやく息を整えたトキヤは、涙目で俺を見上げてきた。
 ちなみにこの質問をしたのは、もちろん目的達成の為もあるんだけど、純粋に疑問だったからだ。男だったらもちろんあるだろうとは思うんだけど、トキヤだからなぁ。あのきれいな細い指で自分の握って、扱いて、射精する姿なんてとてもじゃないけど想像できない。でもしないと溜まっちゃうよね。やってるならどこでやってるの、ベッド?風呂場?それともトイレ?オカズは何使ってるの?とか、疑問はいっぱいある。あるんだけど、したことあるかないかだけでここまで動揺されるとなんだか悪くて聞けない。うーん仕方ない、この質問は次の機会にとっておこうかな。あんまりしつこく聞いてご機嫌斜めになられたら困るしね。

「っ、きゅ、急になんてこと言うんですか」
「いや、カレンダー見てたらそういえば今日は7月21日だなぁと思って」
「は…? 7月21日が何か…」

 そう、今日は7月21日。語呂合わせでオナニーの日なんだよ。教えてあげてもいいんだけどどっちかって言うと気付いてほしかったから、俺は何も言わずにトキヤの目をじっと見つめてみた。流石だね、賢いトキヤは数秒でそれに気付いたみたいだ。いいこだねって笑うと、次の瞬間ばっと逸らされちゃう。いーね、その反応。付き合ってもうすぐ一年、ヤることヤってる俺相手にそこまで初心な反応って反則じゃない?行き場を失くしたトキヤの視線は、時計やカレンダーに寄り道して、手にしたマグの中へ。まだ半分以上入っているコーヒーをじっと見つめて、ようやく俺のとこに帰ってきてくれた。

「あなたまさか他の方にもこの調子で聞いたんじゃないでしょうね」
「ん? お前だけ、恋人限定だよ」
「……嬉しくないです」
「あ、顔赤くなった」

 からかうように話題を逸らしたら案の定うるさいって頭をはたかれたけど、こんなにカワイイ照れ顔と引き換えならそれも悪くない。さ、じゃあ予定通りはじめよっかな。ねぇトキヤ、せっかくあったかいコーヒー淹れてくれたのにごめんね。終わった後にまだお前が飲める元気があったら、俺が淹れなおしてあげるから怒らないでね。



「とーきや、キスさせて」

 ほんのり赤いままのほっぺたを両手で包むようにして、啄ばむようにキスをする。1,2回繰り返した後、まるで俺を誘うように緩くあいたままの口内へ舌をいれてみたら、俺の苦手なブラックコーヒーの味がした。歌も演技も完璧なトキヤは、キスの息継ぎがちょっとだけ下手くそ。ずらしただけじゃうまく息が吸えないみたいで、ちゃんとくちびるを解放してあげないと、酸素が足りなくてくらくらしちゃうのか長い睫毛が涙でしっとり潤んできちゃう。そうして、今みたいに俺の服をきゅって握ってくるんだよ。俺だけが知ってるこんな可愛さが、本当に愛しい。

「ん……ふ、ぁ、んぅ、音也、だめです…」
「どうして? 気持ちよさそうな顔してるくせに」
「だ…って、こんな」
「うん、いいからちょっとこっちおいで」

 女の子よりすべすべでまっしろなほっぺたから手を離しちゃうのは名残惜しいけど、抱き寄せるためには仕方ないよね。細腰に片手をまわしてぐっと引き寄せ、空いた手は服の中に滑り込ませる。俺はこういうとき、トキヤより少しだけ平熱が高くてよかったって思えるんだ。だってひんやり冷たい手で恋人をびっくりさせるよりは、あったかい手でほっとしてほしい。行為自体は性急かもしれないけど、できるだけ気持ちよくなってほしいんだよ。
 俺は、気持ちよくなってもらうためにトキヤの性感帯はもう全部知ってる。普段は白くてひんやりかわいい耳たぶ、キレイに浮き出た鎖骨、前戯の時に舌をつっこまずにいられないおへそと、それから一番はここ――乳首だ。首筋やほっぺたにちゅ、ちゅってキスをしながらその一番にそっと触れてみた。

「ちょ、あなた何して…! 駄目です! っあん」
「そんな可愛い声でダメなんて言われても、逆効果かなぁ」
「違、わざとじゃな……、あっう、だめです、ってば」
「ほら、また」
「も、このばか…っ」

 うん、カワイイ。掠めただけでこの反応、ほんとえろく育ったなぁって思うよ。ほら、ちょっとつまんで、ふにふにって押しつぶしてやるだけでもうこんなだ。ね、トキヤ。お前ってほんっと乳首弱いね。そのうち乳首だけでイっちゃうんじゃないのかな、って思うくらい。

「音也! こういうことは寿さんが泊まりの時だけと約束したでしょう」
「こういうことってセックス? 大丈夫、その約束は忘れてないよ。でももう、ほら。トキヤのちんこ服着ててもわかるくらい勃っちゃってるね?」
「あ、あぁ…っ、だめ、さわっちゃ」

 それでも気丈な俺の恋人は、震える手で俺の肩をぐっと押し返してきた。でもそれも最後の抵抗だったかな。健気に服を押し上げているちんこをそっと撫でてやっただけで、あまったるい声が漏れてくる。

「これ、このままでいいの? つらくない?」
「――っ音也、あなた何考えて…だめですよ、触っちゃ…」
「うんわかってる、触らないよ。だから、さ」

 ねぇトキヤ、出会った時はバカ犬だった俺だけど、飼い主の躾がよっぽど優秀だったんだね。お前と付き合って一年経たないうちにこんなにもお前のこと知り尽くして、操縦するのうまくなっちゃった。これから言う質問の答え、当然YESだって俺は知ってるよ。だってもう、イきたくて仕方ないもんね。俺が『触らない』って言ったの、残念だったんだもんね、トキヤ。大丈夫だよ、俺は触らないけどちゃーんと気持ちよくしてあげるから。

「トキヤ、今日はお前のオナニーしてる姿、俺に見せて」






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20120722 新規作成
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