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Z.ジョーカー -5-

「…言わんのやったら、続けるで」
「――っ、や…」

下手に騒げない以上、目を瞑って我慢するしかないと頭では理解しているのに、
シエルの涙腺はまるで壊れてしまったかのように、次々に涙を作り出す。
いやいやと首を振りながら力の入らない腕で目の前の男を押しのけようとするものの、
ジョーカーは目元へ宥めるかのようにひとつキスを落としただけで、
その唇はそのまま首筋へと滑っていった。

「あまり泣くと、頭痛くなるよ」

耳元でそう囁かれて、ピアスごと耳たぶを舐め上げられればひとりでにびくんと跳ねるからだ。
シエルはもうどうしていいのかわからなくて、頭の中で必死に恋人の名を呼んだ。

「ちょっと寒いかもしれんけどすぐ暑くなるから」

でも、聞こえるのはだいすきな恋人のものとは違う、聞きなれない声。
いくら穏やかな声で優しい言葉を掛けられても、涙は止まらない。
からだ中を撫でるてのひらの感覚と、ちゅうっという軽い音を立てて触れる唇が
鎖骨や胸、腹を辿り、いよいよ下腹部へと近づいてゆく。

「…ぁ、あぅ、やっ!」
「ここも、可愛いな。つるんとしてて…ほんとにこどもみたいや」
「や…嫌だ、いや、やめ」
「何で?ココ、まっかになって震えて涎たらしてんのに。きもちいいんじゃないの?」
「ちが、違う…も、ぁ、っや、嫌ぁあっ!」

シエルのちいさな性器は自分の気持ちとはおかまいなしに与えられた刺激で勃ちあがっていて、
指でそっとなぞられるだけでこぷりと先走りを零した。
それを言葉で苛められて恥ずかしさと悔しさで頭が混乱する。
そのままぱくりと咥えられて舌で蹂躙されると、シエルは程なくして
暖かな粘膜に誘われるように白濁を吐き出してしまった。

「――っ!!ぁ、あ…」
「気持ちよかった、やろ?」

卑猥な水音を立てて、最後の一滴まで吸い尽くされる感覚に力が抜ける。
ジョーカーはそれをこくんと飲み込むと、手の甲で唇をぐっと拭ってシエルにキスをした。
もうすっかり慣れているはずの、精液の味。なのに、今日はそれがとてもとても苦く感じる。

「もっと気持ちよくしてあげるから、そのままじっとしててな?」

目の前の男が、なにもなかったかのようにあの笑顔でにこりと笑う。
両の脚に手を掛けられて左右に開かされる感覚はあったけれど、
もうシエルには抵抗する気力すら残っていなかった。

セバスチャン以外に触れられたことのない、内腿の柔らかい部分。
そこをつうっとなぞるてのひらと唇の感覚はどこか現実味がない。
きっとこれが現実ということを脳が拒否しているのだろう。
それでも、膝から始まった愛撫が脚の付け根あたりまでくると、
触れる暖かな吐息が嫌でもこれが現実だということをシエルに突きつける。

ああもうだめだ、セバスチャン、…ごめん。
そう思ったときだった。

「――なんや、坊、もう誰かのモノやったんか」
「…?」

拍子抜けしたような声にぴたりと愛撫が止む。不思議に思ったシエルが
力を振り絞ってからだを起こすと、ジョーカーはシエルの腿の内側のある一点を指で示していた。
脚の付け根に程近いそこにあったのは、白い肌によく映える、紅い所有の証。






改定履歴*
20110306 新規作成
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