Next Stage!-1-
『トキヤのことが好きです。大事にするから、だから、ずっと俺と一緒にいてください』
恋人として初めて一緒に迎えるクリスマスに音也がくれた言葉。
それは、私がそれまで生きてきた中で、いちばん嬉しい贈り物でした。
ルームメイトとして一年間を過ごすうちに芽生えてしまった感情を気のせいだと思い込もうとする私と、まっすぐに伝えてくる音也。自分の気持ちをひたかくしにして、彼からの告白を幾度誤魔化してみても諦めないその姿に、とうとう自分も同じ気持ちだと伝えたのはもうどれくらい前になるでしょう。
好きなひとに好きだと伝えた事に、後悔などありません。
けれどやはり、どこかに引け目を感じていたのもまた事実だったように思います。私たちは男同士なのだから未来を望むことなど許されない、キスをしたり抱き合ったり、それだけでも過ぎた幸せなのだ――そう思っていたあの頃の私は、ふたりきりのクリスマスパーティの最中、大好きな赤の瞳に見つめられながら伝えられる彼からの気持ちに返事すらできませんでした。
まるで時間が止まってしまったかのように動けずにいる私の左手をとった彼が震える指先でそっと嵌めてくれた指輪は、今でも私のいちばんの宝物です。お互いの『アイドル』という立場を踏まえて、きっと悩みに悩んで選んでくれたのでしょう。初めての指輪は、一見すればファッションリングと捉えられる幅広のものでした。
けれど、クリスマスツリーのきらきらのイルミネーションの光を受けて控えめに光るそれは確かに彼の左手に光るものとお揃いで、紛れもなく恋人同士のペアリングなのだと教えてくれました。
改定履歴*
20120407 新規作成
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