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個人授業 -3-

あの手紙さえ届かなければ、今日もいつものように抱いてもらえる筈だったのに。

あいつの唇と手が僕の体中に触れて、
あのなめらかな暖かい肌とお互いの境界線がわからなくなるくらいにくっついて。
たくさん名前を呼ばれながら、気が遠くなるくらいにキモチよくしてもらって――…

ダメだ、我慢できない。そろりと下肢に手を伸ばしてみると、
頭の中の恋人に反応し中途半端に勃ち上がっているものが指先に触れた。

「…っん、ぁ」

たまらず片手で包み込み、ゆっくりと揉むように刺激してみる。
幼いからだに深く刻み付けられた快楽の記憶のせいだろう、
まだ成長途中で小振りな性器はあっという間に大きくなった。
先端から零れる雫が指を濡らして、手を動かす度に
くちゅくちゅという微かな水音を立てる。

「あ、く、…っん、セバスチャン…っ」

思わず自分の口から漏れた名前が、ひどくはっきりと耳に届いた。
そうだ、僕、一人でやりたいわけじゃない。セバスチャンと繋がりたい、のに。

「ん、…なんでいないんだよ、ばかぁ…」

両の瞳にいつのまにか溜まっていた涙がひとつぶ、ぽろりと零れる。
それが赤く染まった頬をつぅっと伝い落ちシーツに染みを作るのと、
待ち焦がれた恋人の声がシエルの耳に届いたのは同時だった。



「坊ちゃん、泣かないでください」



聴こえるはずのなかった声に、シエルの思考が止まる。

今日は別々に眠るっていったのに、だからここには居ない筈なのに。
うまく働かない頭で必死に考えを巡らせてみても、
背中を丸めてシーツに潜っていたシエルに覆いかぶさる気配は、
確かにだいすきなセバスチャンのもので。
そっと掛布を捲られ頬に残る涙の後を優しくキスで拭われて、
ようやくシエルは恋人と視線を合わせることができた。

「申し訳ありません、マイロード」
「セ…バスチャン?」
「貴方が寂しがり屋なのを知っていて、ひとりにしてしまった私をお許しください」
「…セバスチャン…僕、…ぅ、ひっく」

安心したのだろう、目が合った途端にこどものように泣きじゃくりながら
自分の方へ両手を伸ばしてくるちいさな主人を、セバスチャンはぎゅうっと抱きしめる。
そうして、大きな手でゆっくりと髪を撫で、頬や額にキスをして、耳の傍で囁くのだ。

「やっぱり、ひとりで眠るのは寂しいです。今宵もご一緒してよろしいですか?」

睡眠を必要としない悪魔のついた、やさしい嘘。
寂しがり屋で甘えん坊で、そのくせ素直に甘えられない主人へのプレゼントに、
シエルはこくこくと頷きながら精一杯のちからで一生懸命に恋人に抱きつくのだった。






改定履歴*
20110206 新規作成
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