ねこみみプレイ！ -3-
「さぁ音也、目を開けて、こちらをむいて」
「ぅ…？」
「そう、イイコですよ？ そのまま」
「――！ っにゃ、にゃあぁ！」
言われるまま音也が一生懸命にうしろを向くと、次の瞬間ぐいと腰を後ろに引かれて一気に突き入ってきたトキヤの熱いものが、音也の狭い内側を擦りあげた。いくら指と舌で慣らされていても、イったばかりのからだが急激に受け入れるにはその質量は大きすぎるもので、音也の口からは悲鳴とも嬌声ともつかない声が上がる。
「ゃあ、にゃああ、っくぅ、んっ」
「可愛い…突き上げるたびに、カワイイ尻尾がゆらゆら揺れて。まるでもっともっととおねだりされているようですね？」
「や、違…っひぁんっ！ あっ、あっ、ときや…、っひぅ」
「このふわふわの耳だって、ちゃんと私の声をきくためうしろを向いてくれてる。うれしいです、音也」
「にゃぁっ！ だめ、さわっちゃダメ…だって」
「どうして？ 撫でるたびにきゅうきゅうと私のものを締め付けているのに？」
しっとりと汗ばんだからだをぐっと抱えて背面座位にすると、音也は甘えるように艶やかな尻尾をトキヤの腰へと巻きつけた。その様子が可愛くてくすくす笑うと、吐息すらも快感になるのか腕の中のからだがぴくんと跳ね、それが重力と相俟ってトキヤのものを余計に奥深くまで飲み込んでゆく。片手でがっしりと支えられ、空いた手では乳首を撫でられ、敏感な首筋を甘噛みされて。その幾重にも重なる刺激で、音也はあっという間に快楽の淵に立たされた。
「っ、ぁ、も…ダメ、また出ちゃう…！ や、でる、っあ、トキヤぁ、あ、……ひうっ」
トキヤに突き上げられるたびにぷるぷると揺れる音也の性器の根元。ぱんぱんに膨らんで今にも射精しそうなその根元を、それまでしつこいくらいに乳首を弄っていたトキヤの手がぎゅうっと握ってしまった。
吐き出しきれなかった熱が体内に逆流して、音也は何が起こったのかわからないというようにぼろぼろと涙を零す。
「…ぁ、なんで？ トキヤ？ 手、離してぇ…っ」
「出ちゃう、じゃないでしょう？ そういうときは、なんて言うのか教えてあげた筈です」
「〜〜っでも、だって、」
「言えませんか？ 仕方ないですね、ちゃんと言えるまで、ずっと抱いていてあげますから…ゆっくりでいいですよ」
「んっあ！ あ、ぁ、にゃぅ、ふにゃああん！」
快感でぐちゃぐちゃになった音也が言葉を紡ぐ前に、トキヤはまた彼を四つん這いにさせて腰を打ち付けるように律動を再開した。もちろん音也の性器は握ったまま、だ。
恋人となってからもうすぐ一年、トキヤは音也のからだを知り尽くしていた。キスの癖に始まり、性感帯や、内側のどこを擦られるときもちいいのか、どうすれば射精するかまで全て。もちろんいちばんは前立腺だが、今この体勢でそこを刺激するのは中々難しい。だから、トキヤは次に弱い箇所を攻めることにした。
音也が、前立腺の次に弱いところ――それは、可愛いことに、耳。耳たぶをやわらかく食まれながらのセックスに、彼はめっぽう弱いのだ。
ぐっと一際奥まで性器を突き入れ、にゃあにゃあと気持ち良さそうに啼いている音也の後ろから覆いかぶさるようにくっついて、耳元で『音也』と名前を呼ぶ。ただそれだけで、可愛い恋人は声もなくびくびくとからだを震わせ、がくりと膝と腕をおってベッドに倒れこんだ。はぁはぁと乱れきった息をいっしょうけんめい整えようとする音也の額に汗で張り付いてしまった髪を避けてやれば、彼はほっとしたような表情を見せる。目を瞑ると溜まっていた涙がつうっと零れおち、トキヤは自然にその跡に沿って軽いキスを落とした。
「精液、出さなくてもイけるようになりましたね」
「は、……ふ、ト、キヤ、トキヤ…っ」
「かわいい…きもちよかったですね。随分消耗したようですし、今日はこれでおしまいにしますか？」
もちろん、そんなつもりはさらさらない。余裕ぶっていても、トキヤだって性欲旺盛な16歳。ほんとうは、自分だって射精したくてたまらないのだ。そんな気持ちを隠して音也に意地悪するのには、彼のある表情を見たいからに他ならなかった。
「――や、だ、おねがい、ときや、出したい、せいえき出したい。やめちゃやだぁ…っ」
「ん、そういうときは何ておねだりすればよかったですか？」
「ふにゃ…、い、いきた、い」
「ん？ 声が小さくてきこえませんよ」
「トキヤ、俺、トキヤのおちんちんで、いっぱいつかれて、いっしょにイきたいよ…っおねがい、ときやぁ、おねがいにゃぁっ」
「…よく言えました」
トキヤは、セックスの気持ちよさでぐずぐずになってしまった音也のおねだりの声を聞くのがすきだった。あまくて、とろけそうな声が鼓膜に届くと、ぞくぞくと背筋を快感が駆け抜けて、挿入してもいないというのに思わず腰が揺れてしまう。
せっかくのふわふわ耳と尻尾がよく見えるようにと思っての後背位だったが、トキヤも恋人の痴態にそんな余裕はなくなってしまった。早くはやく、このいとしい恋人にたくさんキスをしながら、体の奥深くに精液を注ぎ込んでひとつになってしまいたい。
ベッドに仰向けに倒れこんでいる音也の足首を掴んでぐっと開かせる。先程まで自分の性器を受け入れていた後孔はぱっくりと開いたままで、トキヤはもう我慢できずにそこにまた自身を突き入れた。
「――あぁっ、ひ、ぅあっ、や、ときやぁ、ゆっくり」
「音也、ごめんなさい。ゆっくり、できそうに、ないです…っ」
「あ、あ、っ、あぅ、――っ、はぁっ、やぁんッ、……ふむっ」
最初から強くて激しい律動に音也はがくがくと揺さぶられ、追い詰められていたからだは、一際奥までを貫かれると同時にあっという間に二度目の吐精をした。きゅうっと奥へ連れて行かれるように後ろが締まり、トキヤもそのまま暖かい体内に精液を吐き出してしまう。腰が抜けてしまいそうな快感の中、一滴も残さないようにと腰をゆったり動かしながらキスをすると、音也は甘えるように目を瞑った。
「っはぁ、は……音也、大丈夫ですか？」
「……ふ、にゃ…ぁ…」
そっと頬を撫で名を呼んでみても目を覚ます様子はなく、トキヤは欲望の赴くままに恋人を抱いてしまったことをほんのすこし後悔しながらも、暖かい音也のからだをぎゅうっと抱きしめる。
猫耳としっぽが急にはえてしまった恋人に驚きはしたものの、にゃあにゃあというあまったるい彼の喘ぎが耳から離れない。撫でるようにさするだけでぴくんと反応する姿もひどくかわいいもので、案外このねこみみプレイにはまってしまうかも――…そんなことを思いながらゆったりとしたリズムで恋人の背を撫でているうちにふわふわとした眠気につつまれてゆく。射精後のここちよい疲労感も相俟ってそれに抗える訳などなく、トキヤはそっと瞼を閉じるのだった。
****
ぺちぺちと、頬を叩かれる感覚に眠っていた感覚が引き戻される。
「起きて、トキヤ」
耳に届いた恋人の声で眠りにつく前の出来事が一気に思い出され、トキヤは慌てて目を開けた。目の前にいるのはいつもの音也。そう、猫耳もしっぽもどこにもない、いつもの音也、だ。上半身裸のままの格好で、自分を腕の中に閉じ込めて寝ている恋人の頬をぺちぺちと叩いている。
「もう、やっと起きてくれた！」
「え…えっと、」
「いくら呼んでも起きてくれないんだもん。もう昼だよ？ 練習はいいの？」
トキヤはそのまるい頭をそっと撫でて、どこにもねこみみがないことをようやく把握すると慌てて音也の両腕を掴んで質問を投げかける。
「音也、ねこみみはどうしました？」
「………は？ トキヤ、寝ぼけてる？ 夢でも見たの？」
「ゆ、め…？」
「俺にねこみみとか、…トキヤってそういうの趣味なの？」
「！！ いえ、そういうわけではないのですが、」
「照れなくてもいいよ〜。トキヤがすきなら、俺今度つけてあげるからさっ！」
夢。音也がそういうなら、そうなのだろう。それにしてもやけにリアルな夢だった、練習も忘れて昂ぶった感覚もあまい汗のにおいも、手にとるように思い出せるのに。それにこのセックスの後特有の気だるい感覚――…
「だからあの、そろそろ離して。俺、風呂行きたい」
「風呂ですか？」
「えっと、その…後処理、まだだよね？ さっきから溢れてきてて、実はちょっとツライんだ」
「は？」
「は？じゃないよ！ 俺が寝てる間に突っ込んで中に出したくせに覚えてないの！？」
その言葉に思わず足首を掴み思い切り開かせると、音也のしなやかに伸びた内腿をひとすじ、白い液体が伝ってシーツに染みを作っていた。念のためにと指を挿れると、こぷりとあふれ出す白濁。慌てた音也の力一杯の抵抗である枕攻撃を甘んじて受けながら、トキヤは先程の出来事が夢でないことを確信し、なんとか再現できないかと考えを巡らすのだった。
end
改定履歴*
20120223 新規作成
すみません、ねこの日にどうしても何か書きたくて、でも思い立ったのが当日夜であまりにも時間がなくてですね…去年のセバシエのネタで書きました。最初と終わりがほぼ一緒ですorzあーほんとすみません。書き終えたときにこんなにもすっきりしなかったのは初めて！！！！うわぁぁんごめんトキ音ちゃんセバシエちゃん！！もうこういうことしないぜったいにだ。
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