おなかいっぱい、ちょっとお昼寝
「トキヤー、コーヒーのおかわりはいったよ!濃さってこれくらいでいいのかな?味見してみてくれる?」
はい、わかります。いい匂いです。さっきのもおいしかったですし、何より、あなたが淹れてくれたコーヒーなら、味見なんてしなくてもきっとおいしいです。
「あれ、トキヤ?」
待ってください、今起きます。せっかくあなたが淹れてくれた、私のためのコーヒー。冷める前に、飲みたいです。
「…寝ちゃった」
寝てません。ただおなかがいっぱいで、部屋があったかくて、ちいさなクッションで試行錯誤してあなたが私の為に作ってくれたソファがふかふかで……、心地よくてしあわせで、すこしうとうとしてるだけです。
「可愛いなぁ」
かわいいのは、あなたです…。さっきのドーナツよりもずっとあまい声をして、そおっと撫でてくれるの、反則です。きっとにこにこ笑っているのでしょう?見なくても、わかります。あなたの声を聞くだけで、あなたが今どんな表情してるかなんて。きっととても可愛くて、冷静な表情を保つことができそうにないのがわかっているから。ほら、余計に目が開けられない。
「ねぇトキヤ、一生大事にって言ったのは、嘘でもその場のノリでもないよ。本気で思ってる。だから元に戻っても、戻れなくても、ずっと俺の傍にいて。」
音也、音也、おねがいだから寝てる時までからかわないで下さい。ただの冗談だとわかっていても、心臓がドキドキしてしまってくるしいんです。
「――してる、トキヤ」
…え?最後、聞こえませんでした。もういちど、言ってください。お願いします、音也。…でも、もう眠くって、……目を開けようと思っていたのに、もう、無理みたいです…。
「いつかは、起きてる時に言えたらいいな。…おやすみ」
……?はい、いつかきっと、私が起きている時にもう一度言ってくださいね。おやすみなさい、音也。
改定履歴*
20120111 新規作成
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