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ミルクとはちみつ -8-

「トキヤ、こっち」

いつもより高い体温をした手にひかれて音也のベッドへと連れてこられ、膝の裏にベッドマットが当たった次の瞬間、目の前の景色が一変する。背中にはふわふわのベッドマット、そして自分に覆いかぶさっている音也の後ろには天井が見えた。

彼がいつも纏っている無邪気で可愛らしい仔犬のような雰囲気は今はすっかり姿を潜めていて、代わりに、まるで腹を空かせた肉食獣のような雰囲気を醸し出していた。ぺろりと舌なめずりをする姿は、仔犬というより狼そのものだ。きっと、このままでは本当にたべられてしまう。それは解っているけれど、どうしても自分を捕まえている腕から逃げ出すことができない。結局は、トキヤだってもう十分に欲情してしまっているのだ。

「音、也」
「…昨日も思ったけどさ、トキヤってほんとに綺麗だね」
「そんなこと」

まだ起き抜けで着替えも済ませていなかったトキヤが身に纏っているのは濃い茶色のパジャマだけだった。トキヤに覆いかぶさったままそのボタンを片手で器用に外しながら、音也はそんな感想を口にする。いつもは自分がされる側だからあまりじっくり見る余裕がなかったが、こうやってゆっくり脱がせながら見るトキヤの体は殊更綺麗だと思った。

「白くて、すべすべで、きもちいー。何かトクベツなことしてるの?」
「そんなの、なにもしてません…」
「へぇ、天然でこうなんだ。トキヤはホント可愛いね」

日々の節制と筋トレのおかげで引き締まったトキヤのからだは美しいという言葉がぴったりで、そこらのモデルにもけっして引けをとらない。うっすら浮き出た腹筋は自分よりも幾分うすっぺらいものの、とても綺麗でつい触りたくなってしまうような魅力を孕んでいた。音也からの言葉に反応して白い肌がほんのりと赤く上気してゆく様子に、こくりと喉がなる。

「あ、ひぅっ、音、也、」
「トキヤ、トキヤはどこが気持ちいいの?俺に教えて」
「〜〜っ、」

ボタンが全て外れて肌が露になったところで、音也は待ちきれないというように行為を再開した。ちゅ、ちゅ、と啄ばむように頬や首筋にキスを落としながら、すっかりお気に入りになったトキヤのなめらかな肌の手触りを楽しむように大きなてのひらを体に這わせる。

口元を手で覆って声を漏らさないようにしていたトキヤも、からだがびくんと跳ねるのはどうしても隠しきれないらしい。まるで本当に気持ちいいところを教えてくれているように素直な反応に導かれて、音也は組み敷いたからだにキスを落としていった。時折ちゅうっと音をさせてキスマークを残す姿は、この獲物は自分のものだとマーキングをしているかのようだ。

「…あ、昨日俺が痕つけたトコ。綺麗に残ってるね。嬉しい」
「ん…っは、ぅ…」
「ここも、きもちいい?かわいい…これじゃまるで全身性感帯みたいだ」
「何言って…それはあなたでしょう。――あっ」
「指先まで感じるなんてエロすぎだよ、トキヤ」

鎖骨の溝、脇腹、臍の周り、それから、しなやかな指先まで、トキヤが感じるところ全てに丁寧に舌を這わせて。それから、音也はトキヤの鼓動を確かめるように心臓のあたりにそっと手を置いた。そうすれば思った通りにどくどくと速い鼓動が伝わってきて、それが確かに彼に快感を与えられていることの証明のようでなんだか嬉しい。いつもはされるばかりだけど、自分だってトキヤを気持ちよくできているんだと思うと、心の中が満足感で満たされてゆくのを感じた。――もっと気持ちよくさせたい。大好きなトキヤのことを、もっと、もっと。

制服やステージ衣装と違うさわり心地のいいうすいパジャマの生地は、トキヤのからだの変化を視覚的にわかりやすく音也に教えてくれた。臍の下で大きくなっているのは紛れもなく彼の性器で、きっと先走りが滲んでいるのだろう、その頂点はうっすらと色を変えている。思わずそこに手を伸ばすと、トキヤは慌てたように音也の手に自分の手を伸ばしてその動きを制しようとした。

「待ってください、待って、音也…っ」
「いまさら待て、なんて言われても無理だよ。俺もう止まらないよ。ほら、おっきくなってるのわかるでしょ?」
「あ…っ」
「トキヤだってこんなに大きくしてるじゃん」

そう、本当に今更なのだ。音也は昨日から焦らされっぱなしで、キスをしているだけでがちがちに勃たせてしまっていた。パジャマ代わりにしているのが大きめのハーフパンツでよかった、でなければ窮屈さに耐えかねてとっくに下着ごと全てを脱ぎさって目の前のごちそうに盛ってしまっていただろう。けれどもう限界、音也はトキヤの性器をぎゅっと握ってその硬さを確かめると、するりとパジャマと下着を脱がせてしまう。

「ですが、その、これではいつもと逆――…」
「うん、そうだよ?昨日も言ったでしょ、疲れてるトキヤの代わりに、俺がトキヤのこと気持ちよくさせてあげるって」
「な…!そんなの了承できるはずがないでしょう!大体あなた、童貞じゃないですか」
「なっなんだよ急に!ていうか、そんなこといったらトキヤだって処女じゃん!」
「処……っ!!あなたこそ何を言っているのです、私は女性ではありません!」
「それなら俺だってセックスしたことあるから童貞じゃないもん!」
「〜〜いえ、そうでなく、その…男が男を気持ちよくさせるのは案外難しいんですよ?私だってあなたの為に随分研究して…」

なるほど、どうしても自分が受け入れる側になるのに抵抗のあるトキヤは『攻め』としてセックスに及んだことのない音也では自分を気持ちよくさせることなんてできない、と言いくるめてどうにかこの場を逃れたいのだろう。けれどその言葉を聞いた音也は、今までの焦っていたような表情を一変させ、余裕たっぷりに、にっこりと微笑んでみせた。

「ばかだなぁ、トキヤ。俺がお前に何度抱かれてると思ってるの?俺がされて気持ちいいこと、全部してあげる。もういいからじっとして、大人しく感じててね」






改定履歴*
20111230 新規作成
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