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ミルクとはちみつ -4-

「……寂しかったのですか?」

いつもと違う音也の声音と行動から導き出した答えを確認するように口に出すと、それを聞いた音也は一瞬泣きそうな顔を見せ、そのままぐっとからだを前傾させてトキヤに抱きついてきた。ずっと半身浴をして温まっているはずの自分と同じくらいに暖かい音也の素肌が直に触れ、心臓がどくんと音を立てた。

「〜〜っ、トキヤぁ、お願い、ちょっとだけでいいから」
「おと、や」
「俺にも充電させて…?」

自分の首筋に顔を埋めるようにきゅっと抱きつく恋人の甘いおねだりが、あたたかい体温と一緒にトキヤのこころにすうっと染みこんでゆく。

可愛い、かわいい。すれ違いの生活が続いたとはいえ、たった一週間だ。しかも毎日一緒の部屋で寝ていたというのにこの反応。寂しい思いをさせたのは申し訳ないとは思うが、こんな風に甘えてきてくれるなら、これも悪くないと思ってしまう。もちろん、こんなことを音也に言ったらきっと彼は拗ねてしまうから、言葉にはできないけれど。

自分に抱きついている音也の背中と腰に手を添えて、そぉっと引き寄せてみる。胸が密着すると、いつもよりずっと早い音也の鼓動がダイレクトに伝わってきてドキドキした。触れ合う頬はとても温かくて、きっと赤面しているであろうことが容易に想像できる。これまで数え切れない程に抱き合った関係だというのに、ここまで初心な反応を見せる音也のことがただ愛しくて、トキヤは頬が緩んでしまうのを抑え切れなかった。

自分を抱き寄せているトキヤがくすくす笑っていることに気付いたのだろう、音也は抱きついていた腕の力を緩め、トキヤの顔を伺ってみる。意図せず上目遣いになった音也の視線に気付いたトキヤは、間近にあったくちびるにキスをした。

「充電、こうすると早いですよ。……ん…」
「ぁ…っんぅ」

上気した頬に手を添えて、ちゅう、ちゅっと音をさせて。音也の寂しさがすこしでもなくなるようにとの思いを込めてキスを繰り返す。そのうちに、音也は鼻にかかったような声を上げ、トキヤの肩に置いた手に少しだけちからをこめた。これは、気持ちよさで呼吸がうまくできなくて、くるしくなってしまったときの合図だ。

「――はふ、…笑うなんてひどいよトキヤ」
「ごめんなさい、あなたがとても可愛くて」
「俺だって寂しくなることあるんだよ。トキヤ、わかってる?」
「はい。勿論」
「ほんとかなぁ…」
「信じてはもらえませんか?」

キスで少しはご機嫌が治ったものの、音也はまだまだ甘え足りない様子だ。トキヤは恋人が拗ねたように膨らませている頬に、ちゅ、とキスを落としながら腕の中のからだに手を這わせた。抱き寄せた背中にてのひらをつうっと滑らせ、そのまま腰のあたりを撫でる。ここは音也の性感帯のひとつだった。

「…あっ、ちょ…擽った、いよ…ひぁっ」

思ったとおり口からは嬌声交じりの高い声が漏れ、びくんとからだが跳ねる。快感を隠しきれない声と湯が奏でる水音が混じって浴室に響き、真っ赤な顔でトキヤを見つめてくる視線と相俟ってふたりの間の空気があまったるいものにかわってゆく。






改定履歴*
20111130 新規作成
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