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ミルクとはちみつ -9-

『気持ちいいこと、全部してあげる。』その言葉には、少しの嘘も脚色もなかったようだ。音也はあれからたっぷり時間をかけて、トキヤの全身に手と唇で細やかな愛撫を施していった。上半身だけに留まらず、膝の裏から踝を経て、つま先まで全て。そんなあり得ない場所までを熱い舌が滑っていく感覚に、トキヤの目にはいつの間にか涙がたっぷりとたまっていた。

すっかり勃ち上がった性器の先端からはとめどなく先走りが零れ、つうっと太腿に透明の糸をひいている。音也はといえば、そんな恋人の痴態をちらりと見ては嬉しそうに笑って、けれど、決して性器には触れてくれない。その代わり、セックスは舐めるものだとばかりにひたすら内腿や後孔までもに舌を這わせた。自分の内部に、にゅる、と舌が入ってくる初めての気持ちよさに、思わず声が出てしまうのを止められない。脚をおなかに付くほどに折り曲げられて、見られたことのない秘部をさらけだし、あまつさえそこを舐められているのかと思うと恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。たとえそれが、いつもは自分が音也に対してやっていることだとしても。

「は…う、音也…っ」
「んー?」
「あ、…っ、あ、もう、むり、です」
「何が無理?ここ舐められるの気持ちいいでしょ?ほら、ひくひくしてる。かわいーなぁ」
「ひっ、や…っ焦らさないでください、あっ音也ぁっ」
「トキヤが俺の名前呼ぶ声、やさしくてちょっと甘くてかわいくて、おれ、すっごくすきなんだぁ。だからもっともっと名前呼んでね」

音也の声も、言葉も、今こんなに卑猥なことをしている最中だとは思えないくらいに可愛らしいものだった。トキヤにとってはどっちが本当の音也なのかわからないくらいだった。彼は、戸惑うばかりで何も返事をできずにいるトキヤの手をとりひとつキスをすると、その手をそのまま舌を急に抜かれて足りない刺激を求めるようにひくひくと動いていた後孔へと添えて、つぷり、と指を一本中に挿れてしまった。そうして遠慮なしに内壁をくにくにと押し、あっという間にきもちいい箇所を探り当ててしまう。

「えっと、この辺、かな?」
「――あ!!おと、や、音也、だめです、そこ は」
「えへへ、あったりー。ここだよね?トキヤが気持ちイイとこ」
「あっう、ひ…ぁっ」
「ここぐりぐりってされると、俺いつもおかしくなっちゃいそうなくらい気持ちよくなるんだよ」
「んぅ、はっ、」
「ねぇねぇトキヤ、トキヤもちゃんときもちいい?」
「き、きもちいい、気持ちいいです、あぅ、だからもう、そこばかりするのは…っ」

――自分は本当に、いつもこんなことを音也にやっているのだろうか。こんなことずっとされたら、本当におかしくなってしまう。気持ちよくて無理だからもうやめて、との音也の訴えを、まだいけるでしょう?と跳ね除けてきたけれど、それはちょっと反省すべきなのかもしれない――…

今更そんなことを考えても、音也から与えられる苦しいほどの快楽が和らぐ訳もないのだが、反省せずにはいられないほどに気持ちよくて苦しかった。けれど、それに抵抗する気力なんて欠片も残っていない。ただ、もう焦らさないで一思いにいかせてほしい、そのことだけが彼の頭を支配していた。

「…エロい顔」
「そんな顔、してません…っ」
「トキヤさぁ、いつも俺に覆いかぶさってるとき、自分がどんな顔してるか知ってる?俺のこと欲しくて仕方ないって顔。いまもそうだよ。ね、俺のちんこ、ココに欲しくてほしくて仕方ないんでしょ…?」

内壁を好きなように弄っていた音也の指がようやく抜かれて、ほうっと息をついたのも束の間、今度は熱い性器が宛がわれたのが解った。入り口を亀頭で焦らすようになぞられて、先走りと唾液が奏でるにちゅにちゅという卑猥な音が耳に届く。

「トキヤ、挿れるよ?」
「ひ、ぅ」

形ばかりの確認の言葉がトキヤの耳に届くのと、音也が腰を前に突き出すのは同時だった。初めて受け入れる音也の性器は熱くて硬くて、思っていたよりずっと気持ちいい。痛みは、それほどでもなかった。きっとおかしくなるくらいに入念に解されたからだろう。

「あ、やば…う、あ、きもち、いっ」
「や、や…っくるし、おとや」
「ときやぁ、トキヤのなかすっごく狭くて、熱くて、ぎゅうってなってる。ね、もうちょっと挿れていい?」
「んんっ、もっとゆっくりして、くださ…」
「あっ、ごめん我慢できないかも…ときや、力抜いてて、ねっ?」

『初めて』のセックスは、受け入れるトキヤは勿論のこと、挿入する側の音也も相当苦しいようだった。彼は、まだ半分程しか入っていない性器をきゅうきゅうと締め付けられる度に射精しそうになってしまい、はぁ、と熱い息を吐いて快感を逃がそうと試みる。ゆっくりすることを求められているのはわかっていたけれど、どうしても我慢できずに、締め付ける内壁に誘われるまま思わず奥までぐっと一息に突き挿れてしまった。

「っあぁあ!いた、…っあ」
「!トキヤ、ごめ、」
「〜〜っ、ぅ、っく」
「トキヤ、トキヤ大丈夫?」

突然与えられたあまりの衝撃に、トキヤはそれまできゅっと瞑っていた目を開いて悲鳴にも似た嬌声をあげた。同時にぽろぽろと涙が零れてしまって、それはひどく音也を動揺させる。夢中でつい先を焦ってしまったことを反省してトキヤの頬を伝う涙をそっと指で拭ってやれば、彼はほっとしたようにその手に頬をすりよせて自分を落ち着かせるようにほうっと息をついた。

「ごめんトキヤ…おれ、つい。痛かったよね?やめよっか」
「へ、へいきです…だから、」
「平気って…でも、涙が」
「やめないで、ください、へいきです」
「でも、」
「おねがいですからっ、焦らされてるみたいで…もう私、もっと奥に音也が欲しくて、くるしいんです…っ」

眉根を寄せて切なげに強請られては、一度は治まった性欲もあっという間に再燃してしまう。音也はトキヤの頬にひとつキスをすると、今度こそゆっくり、すこしずつ腰を動かし始めた。いくらもしないうちに、あまりの気持ちよさにどくどくと心臓が高鳴り我慢できずに腰を打ち付けてしまいそうになったけれど、そのたびトキヤの頬にキスをして、目を合わせて。大切な恋人がいっしょうけんめい受け入れてくれているのだから、大事に大事に抱かないとだめなんだと自分に言い聞かせながら。

「ときや、ときや…っ」
「あ、――っぁ、くぅ、ん、おとやぁ…っ」

けれどやっぱり、甘えるような声で自分の名を呼ぶ腕の中の恋人をもっと気持ちよくさせたくて。音也は、わざと避けていた前立腺の裏をぐっと突き上げた。途端にがくんとからだを跳ねさせるトキヤのことが愛しくて仕方ない。二度、三度とその箇所を狙ってぐいぐいと突いてみれば、絡めていた指にきゅうっと痛いくらい力が込められて、トキヤはそのまま白濁をびゅくびゅくと吐き出した。その途端に性器がきゅううっと締め付けられて、思わず声が出そうになってしまう。いつもならば気にもしないのに、なんだか今は声を出すのが恥ずかしくて――音也は、誤魔化すようにキスをしながら自身も精液を吐き出した。



****
久々に与えられたトキヤの丸一日のオフは、結局ベッドで過ごす事になってしまった。朝から幾度も抱かれてへとへとになり、昼過ぎまで寝過ごしてしまったからだ。今から動こうにも、腰がだるくて起き上がれない。次の休みには新しい本を買いに書店に行こうか、それとも映画を見に行こうかとたくさんの楽しい選択肢を思い浮かべていたのに、何一つ消化できなかったトキヤはすっかり臍を曲げてしまったようで、後ろから抱きしめている恋人の呼びかけに返事もしない。

「トキヤ、ごめん!ごめんね」
「…………」
「怒ってる?よね…あーでもほんとごめん…俺きもちよくて、止められなくて」
「……充電」
「え?」
「充電、完了しましたか?」
「――した!ちょうした!」

けれど平謝りの音也の声は段々と小さくなって、狼どころか叱られた仔犬のようになってしまったのが可愛くて。とうとうトキヤは、朝から盛ったこの恋人を許してあげることにしたようだ。もっとも、気持ちよかったから、という本音は恥ずかしくて口にできないのだけれど。

「ならよかったです」
「えへへー。ありがとうトキヤ!」
「わ…っ、わかったから思い切り抱きつくのはやめなさい」
「ねぇトキヤ、おれ、トキヤのこと好きだよ。本当に、ほんとにだよ」
「わかってます。私も、だいすきです。……音也、愛してますよ」
「――っ、トキヤ、ずるい。やっぱりかっこいい。今日はおれがトキヤをきゅんってさせるはずだったのに…」
「ばかですね…」
「なっ、ばかってひどいよトキヤぁ」
「ばかですよ。私だっていつもしてます。気付いてなかったんですか?」

――さぁ、あと半日、この可愛い恋人とどうやって過ごそうか。いつもは甘やかすばかりだけど、今日は甘えてみるのもいいかもしれない。

そんなことを思いながら、トキヤはうれしそうに自分にじゃれつく恋人にキスをするのだった。






改定履歴*
20111230 新規作成

トキヤと音也はふたりとも本当に可愛すぎて、もう自分の中でどっちが受けとか攻めとか些細な事です。トキ音も音トキも大好きですが、折角リバもいけるカプなのでずーっと書きたいなって思ってて、ようやくかけました。二次創作をやるようになって2年半くらい経つのですが、初めてのリバはすごくすごく難しかったです。そして楽しかった…!
前半気合入れすぎてっていうか、私はどうも言わせたいセリフやシーンを書くと満足してしまう癖があるらしく、『ばかだなぁ、トキヤ。俺がお前に何度抱かれてると思ってるの?俺がされて気持ちいいこと、全部してあげる』と『トキヤさぁ、いつも俺に覆いかぶさってるとき、自分がどんな顔してるか知ってる?俺のこと欲しくて仕方ないって顔。いまもそうだよ』を書いた時点で満足してしまい、まし、た…。
後半が駆け足な感が否めないのですが、とりあえず最後までちゃんとかけてよかったです。また書きたいですー!トキ音トキおいしい!*´▽`*
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