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6月♪気付かない振りをしていたのに -3-

それは、先程の触れるだけのキスとは違って、まるで呼吸さえも飲み込むように深いものだった。
かたく閉じてしまっていた音也の唇を舌でぺろりと舐め、少しだけ開いた隙間から口内に舌を進入させて。
慌てて奥に逃げようとする舌を絡めとり、ゆるく噛んでみれば組み敷いたからだはびくんと跳ねる。
その反応に誘われるように、トキヤは、時折首の角度を変えながら幾度も幾度も口付けた。

あまりの濃厚なキスに慌てた音也の手は、トキヤの肩をぐっと押し返そうとしたが、それも一瞬。
与えられる快感によってすぐさまちからが抜けてしまったのだろう、
シャツをきゅっと握って、まるでトキヤに縋るような格好になってしまう。

「ん、ぅ、……んんっ、ときや、待っ」
「…音也、嫌?」
「〜〜ちが、息、苦し…っ」
「あぁ…」

キスの合間に漏れる音也の苦しそうな声に、トキヤはほんの一時だけキスを中断する。
けれど途切れ途切れに紡がれるその理由が、あまりに初々しくて可愛らしいものだったから。
吐息が零れるような色っぽい声でくすりと笑うと、音也の両頬に手を添えて、
『上手に息ができるキスの仕方』をレクチャーし始めた。

「くちびる、すこしずらして。こうやって」
「んぅっ、―――…、っは」
「ほら、息できるでしょう…?」

すこし潤んだ瞳で、ゆっくりこくんと素直に頷く音也の頬へちゅっと軽いキスを落として、
トキヤはまた唇へのキスを再開させる。
普段よりあかく色づいた音也のくちびるは、まるでくだもののように甘い味がした。

「ぁ、ン……っ、んっ!」
「――…ん、音也、すきです。好き…一度口にすると、何度でも伝えたくなりますね」
「…、あのねトキヤ、おれ、」
「ん、どうしました?」
「うん、俺ね、トキヤがキスしてくれんの、すっごく、きもちい…」
「…え」
「これって、トキヤがすきっていってくれて、おれも、トキヤのことすきだから、なのかなぁ」

まっかな顔で舌足らずにそんなことを言ってふにゃりと笑う音也の笑顔が、
ギリギリのところで保たれていたトキヤの理性をぐらつかせる。
気持ちを伝えて、キスをして、とろけたような表情を見れて
それだけで十分だと思っていたのに、その先を想像してしまう。


トキヤはこれ以上可愛らしい言葉を聴かされては敵わないとばかりにキスを再開させるが、
それはどうやらまたしても逆効果だったようだ。
舌を動かすたびに脳へ直接響く、くちゅ、という濡れた音が、正常な思考をどんどん溶かしてゆく。
気付けばトキヤの右手は、音也のネクタイを解いてしまっていた。
もともと開いていた第一ボタンに加えて第二ボタンを外すと、無防備な首筋が露になる。

「ト、トキヤ…?」
「…音也、じっとして」

音也の不安そうな声を静かな声で制したトキヤは、外気に晒された首筋に舌を這わせた。
途端にびくりと跳ねるからだを無視して、そのまま右手をシャツの中へと這わせる。

「え、ぁ、ちょ…待、まってトキヤ、ねぇっ」

頭上から聞こえる拒否の声はもうトキヤの耳には届かない。
鍛えられた腹筋をつうっとなぞって、胸で控えめに存在を主張する乳首をきゅっと摘んでみれば、
音也の口からはちいさく悲鳴のような啼き声が零れた。

「うぁ…っ、トキヤ、ときやぁ、」

あまく上がる声と、程よい抵抗をみせる音也の反応に気を良くしたトキヤが、
そのまま音也の制服のベルトに手を掛けた時だった。
音也が、それまでとは違う本気の抵抗を見せたのは。

「や、――嫌だ…ッ」
「音也?」
「ごめ、トキヤ、おれトキヤのこと好きだけど、こんなのは嫌だ」

彼は自分に覆いかぶさっていたトキヤのからだを思い切り押し返してそれだけ言うと、
そのまま視線も合わせずベッドを降り、足早に部屋を出て行ってしまった。






改定履歴*
20111027 新規作成
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