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6月♪気付かない振りをしていたのに -11-

自分を真っ直ぐに見つめたまま紡がれた言葉の意味を理解した途端に、
どくんと心臓が高鳴る音が聴こえた気がした。
だってそれはつまり、今から、トキヤとひとつになる…ということで。

――どうしようどうしよう、うれしい。おれ、トキヤのことがすっごく、すきだ。

その気持ちをうまく言葉にできる気がしなくて、そのかわりに
シーツを掴んでいた手をトキヤに向かって伸ばしてみる。
ぎゅうっと抱きついて素肌を重ねれば、気持ちが少しでも伝わる気がしたから。

「…音也」

音也の意思が伝わっているのか、いないのか。
トキヤは自分に向かって一生懸命に伸ばされた腕に応えるように上体を倒し、
音也の汗ばんだ体をぎゅっと抱きしめた。
ただひとつ音也の予想と違ったのは、同時にトキヤの性器が自分の中に挿入ってきたということ。

「っあ!!!やぁあっ」

はじめて雄を受け入れる痛みをなんとか逃そうと、トキヤの背に回した腕にちからがこもる。
大きく張り出した亀頭を飲み込み、少しずつ陰茎が埋め込まれていく度に
音也の爪がトキヤの背中にぐっと食い込んだ。
幸いにもトキヤは着ていたシャツのボタンをいくつか外していただけだったから
傷がつくことはなかったが、それでも感じる鋭い痛み。

「っく…、音也、ちから抜けますか?」
「ひぁ、わかんな…、んぅっ」

けれど、自分が音也に与えているのはきっとその何倍もの痛みだということを解っていたから、
少しでも彼が楽に受け入れられるよう緊張を解そうと試みる。
幾度も名前を呼んで、髪を撫でてキスをして。

そんなトキヤの努力が実ったのか、ようやく全てを彼の中に収めた頃には
音也のからだからは余分な力は抜けており、その表情にはほんのり快感が宿っていた。
挿入されているトキヤの性器を熱い内壁が締め付けてくる心地よさは想像以上で、
ぐっと腹筋に力を入れていないと思わずいってしまいそうになる。

「っはぁ、は、…音也、ぜんぶ、入りましたよ」
「ぁ、あ、…っくぅ、ん…っ」
「痛いですか?ごめんなさい」
「……だ いじょうぶ、いたくないよ、ときや」
「けれど、涙が」

はじめての気持ちよさにそっとひとつため息をついて、労わるように音也に声をかけてみる。
返ってきた返事は彼らしい自分を気遣ったものだったが、
火照った頬をつうっと流れてゆく涙が痛々しい。
そっと頬を撫でてみれば、音也は安心したように息をついてその手に頬を摺り寄せた。

「だ、大丈夫。ないちゃったのは、痛いからじゃないよ」
「え?」
「やっとひとつになれて、…うれしくて」

そう言う音也の声は涙交じりで、確かに痛みはある筈なのに、
それでも精一杯の『すき』を伝えてくれるのが嬉しくて。
トキヤは腕の中の男をぎゅうっと抱きしめて、長くてしずかなキスをした。
もう幾度したのかわからないけれど、それ以外に気持ちを伝える方法がわからなかったから。

「…ふぁ」
「音也」
「?」
「うごいて、いいですか?」

キスの効果だろうか、音也のからだから緊張がとれ気持ちよさそうな吐息が零れた頃、
トキヤが、掠れた声でそう声を掛ける。
自分が動けばやっと落ち着いた音也がまた痛がってしまうかもしれない事とは
十分解っているけれど、自分が今繋がっている大好きなひとの表情と
きゅうきゅうと締め付けられる腰がひけそうになる快感にどうしても我慢できなかったのだ。

むりだと言われたらここでやめよう、彼のことがなによりも大切だから、
無理に自分の欲求を押し通して傷つけるわけにはいけない――
トキヤはそう心にきめていたけれど、自分の言葉に音也が一瞬だけ間をおいて
嬉しそうにこくんと頷いてくれたので、そのまま行為を進めた。

「――ん、ぁ、っあ、あっ!」

初めはゆっくり、慣らすように。音也の表情を見ながら、ゆるゆると腰を動かしてみる。
やはり少しは痛みがあるのか、音也は口も目もきゅっと瞑ってしまったが、
そのうちに少しずつあまい声が漏れるようになった。
物足りない刺激を強請るように腰が律動にあわせて前後して、トキヤの感情を煽ってゆく。

「っひぁ、あっ!やぁあ、」
「音、也、大丈夫ですか…?」
「んぅ、っく、あ…、きもちい、気持ちいいよ、トキヤぁっ」
「――!」

音也の答えは、自分の欲が音也に痛みだけを与えているのではないかと
不安だったトキヤにとって意外すぎるものだった。
彼も、自分と同じように『きもちいい』と思ってくれている――そのことを意識した途端に、
ぎりぎりのところで保たれていた自分の理性が限界を迎えてしまったのがわかる。

それまで遠慮がちだった律動が速く大きくなり、肌と肌とがぶつかる音と
やわらかく解れた音也の後孔からきこえるぐちゅぐちゅという卑猥な水音、
それから、お互いの荒い呼吸音だけが、あつくてあまい空気に満たされた部屋に響く。

不意に音也の赤い瞳が恋しくなって瞼にそっとキスを落とせば、
音也は瞑っていた目を開けてうっとりと自分を見上げてくれた。

「あ、ふ…トキヤ、おれ、あつくて、きもちよくて、も、いっちゃいそ…」
「――わたしも、です。一緒にいきましょうね」
「!!あ、ひぁ、ん…っ」

涙をうっすら湛えた瞳であまえるように言葉を紡ぐ音也の性器を軽く扱いてやれば、
そのからだは待ち焦がれた快感に抗おうともせずにびくびくと痙攣しながら
自らの腹を精液で汚す。

「トキヤ、トキヤぁ、すき…」

うわごとのように自分の名を呼ぶ恋人のことがとてもとても愛しくて、
トキヤはそのとけてしまいそうに熱い内側へと白濁を吐き出した。
どくん、どくんと数回に分けて注がれる熱を目を瞑って受け入れる
音也の目尻にたまった涙をぺろりと舐めとってやれば、
それに気付いた彼はまたいつものようにうれしそうにふにゃりとわらってみせた。






改定履歴*
20111110 新規作成
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