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6月♪気付かない振りをしていたのに -10-

「っく、ぁ、ひぅ、や…っやだ、ときや、はずかし」

『もうあなたの口から拒否の言葉は聞きたくないんです』これは先程、
この行為を始める前にトキヤが口に出してしまった、まぎれもない本心だ。
けれど今音也が同じ言葉を口にしたところで、甘えるような声音と視線が
それが本心でないことを伝えてくれる。

「嫌、ですか?本当に…?」
「っあ、トキヤ、ちがうごめん、いやじゃないけどおれ…っ」
「ごめんなさい、わかっています、そんなに慌てないで」

『音也が可愛く困る顔が見てみたい』というほんの少しの悪戯心で言葉遊びをしてみれば、
自分が組み敷いている男は思った以上の初々しい反応を返してくれる。
思わず頬が緩んでしまうのを我慢できなくて、笑い声を漏らしてしまうと、
彼はからかわれたことに気付いたのか、拗ねたような瞳で見上げてきた。

「…うぅ、トキヤはいじわるだよ」
「あなたが可愛すぎて、つい」

ちゅ、と瞼に許しを請うキスをしてみれば、もっと、と視線で強請られる。
もう甘やかすことしかできなくて、幾分慣れてきた深いキスをした。
先程までのそれと違うのは、トキヤのてのひらが音也のからだを下へ下へと辿ってゆくこと。

頬に添えられていた手が首筋に触れ、胸元と脇腹をゆっくりなぞっていく。
戯れに臍を擽ればキスの最中だというのに音也は無邪気な笑顔を見せ、
つられてトキヤもふわりと笑顔になった。

いまから初めてのセックスをしようというところなのに、我ながら随分暢気だなと思ったが、
今の自分たちふたりにはこれが合っているのかもしれない。

――あまえるように、じゃれあうように、こころとからだを重ねてゆく。

「あ…っ」
「ちから、抜いていてくださいね」
「ん、う…ん」
「大丈夫、ゆっくり慣らします。できるだけあなたが痛くないように」

トキヤのしなやかな長い指が後孔に触れた瞬間、ぴくんとからだを硬直させた音也だったが、
すぐに掛けられた言葉を信じるようにきゅっと目を瞑ってひとつ深呼吸をした。

きっと今、音也の心臓の位置に手をあてれば彼が刻む速い鼓動が伝わるのだろう。
そうは思っても左手は音也の熱く火照った頬を撫でていたし、
右手はゆっくりと入り口を解していたから、確かめることはできないけれど、きっとそう。
だって、自分の鼓動だって今まで感じたことないくらいに、どきどきと高鳴っているのだから。

「……っく、ぁ、ときや…っ」
「可愛い、音也…痛くはないですか?」
「いたくない、けど、も、おれ…」
「イきそう?」

なにも言葉にできずに、ただ、こくんと頷く音也の表情に、眩暈がしそうだった。
見れば音也の性器はまっかになって大きく反り返っており、震える先端からは
先走りがとろとろと零れてしまっている。

思わずそれを掴んで扱いてしまおうかと思ったが――その代わりに頬にキスを送ると、
トキヤは上体を起こして音也の膝裏を掬いあげ、今の今まで自分の指を咥え込んでいた
入り口へと自分の性器をあてがった。

「音也、もうすこしだけ我慢して」
「あ、トキヤ、え、」
「――わたしも、あなたと一緒にイきたいです」






改定履歴*
20111109 新規作成
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