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弟の恋人に、恋をしました。 -13-

ツリーを見ている間に冷えてしまったHAYATOのからだも、マンションのエントランスでHAYATOの帰りを待っている間に冷えてしまった音也のからだも、今はもうとけてしまいそうに熱くなっていた。直に触れ合う肌からお互いの体温が、お互いを暖めてくれたから。

「あぅ、っは、ん、…ぁ、はや、と」
「おとや、くん」
「HAYATO、はやとぉ…っ」

HAYATOの腕の中、慣れない雄を必死に受け入れながら、一生懸命にHAYATOの名前を紡ぐ音也の声が耳に届く。あまいあまい、この声よりもきれいな音を、HAYATOは知らない。

からだを繋げるのはまだ二度目で、行為自体はぎこちないものだったけれど、それでも、お互いの名前を呼びながら肌を重ねればそれだけでしあわせで涙が零れてしまう。数え切れない程のキスをして、今度こそ本物の恋人として指を絡めて。


熱い体内に精液を注いだあと、きもちよさのあまりにきゅっと瞑ってしまっている音也の目が見たくなって、目元にキスをしてみる。そうすればゆっくりと瞼が開いて、彼のきれいな赤の瞳がみえた。自分だけが映っている、音也の瞳。すごくきれいでいとしくて仕方なくて――…おもわずじっと見入ってしまっていると、『HAYATO』とあまえるように名前を呼ばれる。キスをねだられているのだと気付いたときには音也のあたたかいてのひらが自分の頬をつつんでいた。

「すきだよ、音也くんのことがすごく、すごくすき…」
「…っ、俺も、おれもすき、HAYATO、…ぁっ」

ちゅ、ちゅっと可愛らしい音をさせながらキスを重ねていると、果てたはずのものがまた硬くなってゆくのがわかる。治まりそうにないけれど、あまり音也に無理をさせるわけにもいかない、どうしよう――HAYATOが一瞬迷ったのが伝わったのだろうか、音也はふわりと笑うとHAYATOの首にそっと腕をまわして引き寄せ、照れたように「大好きだから、平気だよ」と囁いた。



*****
「ねぇ音也くん」
「え?」
「メール、読んでてくれてありがとう。読まずに削除されてても仕方ないなって思ってたんだよ」

はぁはぁと乱れる息がようやく整った頃、HAYATOは仰向けに転がる音也の髪を撫でながらそんなことを口にした。途端に目を丸くしてがばっと上体を起こそうとした音也が腰の痛みに顔を歪ませる。

「いって…」
「ああ、急に起き上がっちゃダメだにゃー」
「だって、HAYATOが変なこと言うから…っ、削除なんて、そんなのしないよ!」
「!ふふっ、嬉しいにゃあ、ありがとう。音也くん、腰、大丈夫?」
「平気…じゃない」
「え、あ、どうしよう、ごめんね、ついやめられなくって」
「…ずっと撫でてくれてたら治るよ」

そういってにこっと笑う音也の瞳はいたずらっこのように輝いていて、HAYATOはほっと安心した。痛いのは痛いのかもしれないけれど、きっとそれは口実で、まだまだ甘えたいのだろう。その証拠に、音也はころんと寝転がって自分に抱きついてくる。仔犬のように暖かい体温をそうっと包みこむように、HAYATOもまたベッドに横になった。

他愛ない話をしながら、しばらくじっと撫でられていた音也だったが、やはり少し…いや、だいぶ疲れてしまっていたようだ。呼吸がすこしずつゆっくりになり、彼の大きな瞳が今にも眠ってしまいそうにとろんとしたものになってゆくのが可愛らしかった。

「音也くん」
「…ん?」
「眠くなったら寝ていいからね」
「うん…」
「今夜は、朝まで一緒にいれたらいいにゃあ」
「居させてくれるなら、ずっといるよ」
「ボクはずっと居て欲しいにきまってるでしょ?」
「ふふ、わかった。…ねぇHAYATO」
「うん?」
「メール、心の中で返信してたよ。おはよう、おやすみって、毎日」
「え…」
「やっと直接、言えるね」

そう言って照れくさそうに笑う音也の顔がかわいくていとしくて、また言葉が出てこない。代わりにぎゅうっと思い切り抱きしめると、音也は擽ったそうに笑って、嬉しくてしかたないというようにあたたかい頬をHAYATOの肩へとすり寄せた。


「おやすみ、HAYATO」


はじめて耳元で聴いた『おやすみ』の声がとてもとてもやさしくて、あったかくって。HAYATOは少しだけ、泣いてしまうのを我慢できなかった。

――おやすみ、音也くん。朝になったらまた、そのかわいい声でボクにだけのおはようを言ってね。






改定履歴*
20111225 新規作成
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