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magnet -7-

一度は履きなおした靴も、またコツンと音を立てて床に落ちてしまった。
その隣には、キッド愛用のコートが乱れた状態で放ってある。
ローは触れ合う肌の暖かさに酔いながら、自分の下半身に舌を這わせるキッドを受け入れていた。

既に一度手だけでイかされた細身のからだはくったりと力が抜けているのに、
後孔は挿入されている二本の指をきゅうきゅうと締め付ける。
ほんのりと上気した顔を腕で隠すように覆っている様子が、
色っぽくもあり、邪魔でもある。

「キスしてぇから手どけろって」
「…嫌だ。」
「恥ずかしがんなよ」
「恥ずかしいに決まってんだろ!」
「かわいーヤツ」

焦ったようなローの声にくっと口角を上げたキッドは、
唇へのキスを諦めた代わりにローのうすい胸を飾る乳首に舌を這わした。
びくんと大げさに身体を跳ねさせる様子に満足したのだろう。
そのまま、舌で押しつぶすように舐めあげたり歯を立ててみたり、
快感に耐えかねたローがキッドの頭を押しのけようと試みるまで
キッドの悪戯が止むことはなかった。

「んぅ、んっ、ゆーすたす屋、そこはダメだ」
「そこって、ここ?」
「ひあっ、噛むなって!うぁ…っ」
「エロい声。そろそろ気持ちよくなってきた?」
「きもちよくなんか…、っあ!」
「ここから涎たらして喜んでるやつがよくいうぜ」
「!!っも…いじめんなぁっ」

乳首を弄られ、後孔を指で犯され、さらに言葉で苛められたローは
とうとう我慢できずにぽろぽろと涙を零してしまった。
けれどそれはキッドの中の嗜虐心を煽るだけの結果となり、愛撫の手は止まることはない。
それまでゆっくり、慣らすように抜き差しされていた右手の指は、
ローの中のきもちいい所を的確に刺激する動きに変わっていった。

「ひぅ、やぁっ!そこだめ、指、指抜けって」
「もっと太いのがすきだもんな、おまえは。もうちょっと指で我慢してろよ」
「え、違… あぁあっ」

体内でくっと曲げられた指が前立腺を掠めた途端に、
ローはあっけなく二度目の精液を吐き出してしまった。
ゆっくり指を引き抜かれる腰が引けそうになる快楽と、
男にこんなに簡単にイかされてしまったという気持ちが
ローの頭の中をかき乱し、きれいな藍の瞳に涙が滲む。

「そんなに泣きそうな顔すんなよ」
「だ…って、おれ、二回もいかされて」
「まだ二回、な。数え切れねぇくらいきもちよくさせてやるから」

宥められながら、ちゅ、と額にキスを落とされて、
ローはそれでどこかほっとしている自分に気付き複雑な気持ちになった。
本当なら、キスなんかで絆されずに逃げればいいのに。
次に挿れられるのは指なんかとは比較にならない大きいモノで、
とてもとても痛いんだとわかっていても、
ぎゅうっと抱かれて感じる感覚の心地よさが勝ってしまっているのだ。

「…挿れるぞ」

そんなローの気持ちを見透かしたようにやわらかな笑顔を浮かべたキッドは、
一言断ると自身の熱くて固くなった性器をローの入り口に押し付けた。
入り口を焦らすように擦られて響くくちゅくちゅという湿った水音が、
恥ずかしさできゅっと目を瞑ったローを焦らせる。

「ぁ、あ、――〜っ」
「っく」

ぐい、とローの細腰を抱え上げ、ゆっくりと腰を前に突き出して
キッドのは性器をゆっくりとローの熱い体内に沈めていった。
慣らしたとは言え緊張しているのだろう、しめつけはとてもきついもので、
ようやく根元まで入ったところで、ひとつふかいため息をついたキッドのこめかみから
汗がひとすじ流れ落ち、ぽたりとローの脚に落ちた。

「痛い?」
「…平気だ」
「強がんなよ」
「うるさい馬鹿」
「かわいくねぇなぁ…」

敵船の船長室のベッドの上で組み敷かれ、犯されているというのに
あくまでも強気なローに、キッドは苦笑いをひとつ。
一生懸命に浅い息をついて痛みを逃しているローがあまりに健気に思えて、
おおきな手のひらはいつのまにかローの頬を撫でていた。

不思議そうに自分を見上げてくる瞳に誘われるまま
繋がった身体を前のめりにして肌を密着させれば、
ローは素直に首筋に腕をまわしてくる。
何かを言いたげにうすく開かれたままの唇に触れるだけのキスをして、
キッドは律動を開始した。

「あっ、っ、い…っ!」
「ごめんな、すぐなれるから…」

まだ男を受け入れるのは二回目で、確かに痛みはあるのだろう。
涙はぽろぽろと零れていたし、必死に奥歯をかみ締めているのがわかる。
ただそれでも決してキッドを拒絶するような仕草はみせず、
首筋にまわした腕に力をこめ、健気に縋りつくようにして
自分を受け入れるローの姿に、キッドも途中でやめるような器用なことはできなかった。

長引けば長引くだけローのからだへの負担は増えてしまうことを気遣ったキッドは、
はじめから先程指で見つけた前立腺の裏を突き上げるように腰を動かした。
抱きしめている体は思ったとおり大げさに跳ね、唇からはちいさな喘ぎが漏れる。
間近で聞こえるその声に、キッド自身も長くはもたない予感がした。

「…?ゆーすたすや…?」

少しだけ腰の動きを緩めて、抱きついている腕をそっと退かして手の甲にキスをすると、
ローはそれまで瞑っていた目を開けて不思議そうにキッドを見上げてくる。
不安そうに揺れる瞳を安心させるように頬にキスをして上体を起こし、
細腰を両手で掴んで内壁を抉るように突き上げれば、
ローの内側は痙攣するように小刻みにきゅうっとキッドのものを締め付けてきた。

「やぁ、んっ ゆーすたすや、ゆー…」
「『キッド』」
「――キッド…」
「ロー、すきだ」
「…っあ、――っ」

はじめて呼んだお互いの下の名前。その響きは予想していたよりもずっと甘いもので、
キッドに散々揺さぶられてきもちいいところを突かれていたローは、
声もなく幾分うすくなった精液を吐き出した。
その締め付けに自らもいきそうになったキッドは一瞬だけ迷ったように腰をひいたけれど、
結局は、ローの心地良さそうな表情に誘われるように中にだしてしまった。






改定履歴*
20110908 新規作成
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