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僕の悪魔 -11-

シエルの藍と紫の瞳にはセバスチャンだけが映っていて、
セバスチャンの紅茶色には、シエルだけが映っていて。
そのままゆっくり二人の距離が近くなり、影が重なるまでそう長い時間は掛からなかった。

もう何度目かもわからないキスの合間に、シエルが蕩けきったように自分をじっと見上げている事に
気付いたセバスチャンは、緩く弧を描いた唇でシエルの細い首を彩る深い赤のリボンを咥える。
そのまますこし引っ張るだけで簡単に解けてしまうリボンの静かな衣擦れの音は、
昼間からそういう行為をすることの合図だった。

元はといえば今はまだ陽も落ちていないアフタヌーンティの時間で、
カーテンすら引いていない室内は明るく、シエルが少し目線を下げれば
自分に覆いかぶさっている男の顔がよく見えた。
顔だけではない、いつもは手袋に隠されている契約印も、長い睫毛の影すらもはっきりわかる。

いつもならばこういう時は形ばかりの嫌がる素振りを見せるのに、
シエルはただじっと、恋人の大きな手と優しい唇を受け入れた。
いくらふたりの気持ちがお互いを強く想い合っているとわかっても言葉だけでは足りなくて――…
直に触れるすこし低めの体温で、セバスチャンが自分だけの悪魔だと実感したかったから。

「…視線が、とろけてしまいましたね?」

ちゅ、ちゅ、と額にキスを落とされて、愛しくて堪らないというようにそう囁かれて。
間近で見るその美しい姿形にうっかり見惚れている間に後頭部と背中に手を回されたかと思うと、
悪魔はそのままシエルのジャケットとベストを脱がせてしまった。
シャツの首元のボタンをひとつひとつ口で外されてゆくくすぐったいような焦れったいような感覚が、
シエルの鼓動をどきどきと大きく響かせる。

「セバスチャ…擽ったい、髪、が」
「嗚呼、申し訳ありません」

悪魔はそう言って残りのボタンは手で外していくものの、代わりに露になった肌へキスを落とす。
ジャケットもハーフパンツも全て脱がされ、靴下と靴下止め、それからボタンを全て外したシャツだけを
纏ったシエルは、首筋や鎖骨に降ってくる黒髪の擽ったさに身を捩じらせた。
けれどそれはほんのひと時のことで、シエルはすぐに、それとは比べ物にならないくらいの
強い快感を受け入れることになったのだ。

「っ、ひぁ…っ」

鎖骨を辿った舌がたどり着いた先は、シエルの胸であかく色づいていた乳首だった。
舌先でつつくようにして刺激すると素直にぷくりと勃ち上がるそれは、悪魔のお気に入り。
唇ではむはむと弄ぶように挟んだり緩く歯を立ててみたり、
その度可愛らしい嬌声が上がるのだから仕方ない。

「ん、やぁっ」
「可愛いです、坊ちゃん」
「ぁ、くぅ…んっ」

与えられる快感のひとつひとつに律儀に反応してびくびくと跳ねる体の中心には、
まだ成長途中で小振りなシエルのものが健気に勃ち上がっていて、先端には透明の雫が光っていた。
それを指先で掬うように絡めとり、そのまま指先を後ろへと滑らせる。
奥まった入り口に人差し指の第一間接までを挿入してみれば、
シエルは仔犬のような鳴き声をあげてからだをまるめ、必死にセバスチャンの首に縋り付いてきた。
そのなんとも可愛らしい仕草に、悪魔の表情がふわりと柔らかくなる。

「こら坊ちゃん、こんなにくっつかれては、身動きがとれませんよ?」
「だって、…っはぁ、おまえの指が」
「指、が?」
「……ゆびが僕の中に入ってて、…繋がってるの、嬉しい…」






改定履歴*
20110902新規作成
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