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あくまで怪我人ですから -7-

「ふ、ぁ…っ」
「ここ、かたくなってきましたね。服の上からでも感じるなんて、淫乱なからだをお持ちだ」
「やぁっ、違、〜〜っ」
「声、我慢なさらないでください。えっちな坊ちゃんも可愛いですよ」
「あ、あっ、やぁ」
「ここも、勃ってきましたね」

夜着の上からのもどかしい愛撫は、乳首を離れて下腹部へと移っていた。
与えられる刺激で半勃ちしているシエルのものを、悪魔は布越しに唇と舌で弄ぶ。
先程胸にしたように尖らせた舌先でつついて、唇でゆるく噛み付いて。
そのうちに、我慢しきれない喘ぎ声が頭上から聞こえてきて、同時に先走りの独特の味がした。

「んっ、…ぁ、あ」
「坊ちゃん、腰、揺れてますよ。気持ちよくなってきましたか?」
「セバスチャン、セバスチャ…」
「?はい、如何しました?」

いつもはこんなとき、いくら気持ち良さそうにしていても嫌だやめろと駄々をこねる主人のことだから、
今日もそういう返事が返ってくると思っていた執事の耳に届いたのは、切なそうに自分の名を呼ぶ声。
不思議に思って顔を上げて目線をあわせてみる悪魔に、シエルは自分から抱きついてキスをした。
ちゅ、と可愛らしい音をさせて啄ばむようなキスを幾度か繰り返すと、嬉しそうに蕩ける蒼の瞳。

「セバスチャン…、」
「そんな瞳で見つめられては欲情してしまいます。キスだけと仰ったのは貴方でしょう?」
「…からかうな。セバスチャン、僕」
「ねぇ坊ちゃん、やはりキスだけでは足りなくなってしまったのでしょう…?」
「――足りない、全然たりない、から」

それから恥ずかしそうに俯いてしまったシエルだったが、暫くの後、ようやく思い切ったように
悪魔の耳に口を寄せて、ちいさな声でひとことだけ『もっとくっつきたい』と可愛らしいおねだりをした。

――いったい、この幼いご主人様はいつのまにこのように男を誘う手管を身につけたのだろうか。
いつもは自分が迫って押し倒して情事に及ぶというのに、今日は向こうから誘ってくださる。
怪我なんて気合で治して今直ぐこの腕の中の恋人を組み敷き、大きいモノを突き挿れて
『もうむり、おなかいっぱい』と言うまで可愛がって差し上げたい…

時間にして一瞬だが、そのわずかな間に悪魔の脳にシエルとの情事が思い浮かぶ。
その妄想はそれはもう詳細なもので、それこそ体温から言葉の端々という細かなところまで及び、
思わずそのまま勢いで覆いかぶさってしまいそうになったが…それは寸でのところでなんとか我慢した。
口角をくっとあげて笑顔を作り、何事もないかのように優しい声で主人を甘やかす。

「これ以上ないくらいにくっついているではないですか」
「!…ちが、そうじゃなくて、…〜〜っ」
「うそです、意地悪してごめんなさい。私もしたいです、坊ちゃん。けれど傷が」
「う、やっぱり、だめか…?」
「貴方がお願いを聞いてくだされば大丈夫です」
「おねがい?」
「ええ。簡単なことですよ。私のお願い聞いてくださいますか?」

朝から普段よりずっと近くで一緒に過ごして、何度も何度もキスを交わして、
もうこの悪魔が欲しくてたまらなくなっていたシエルの耳に、ひくくて甘い声が響く。
この悪魔のことだ、この『お願い』にはきっと密かな企みがあるのだろう。そんな事は解っていたけれど、
それさえ聞き入れてしまえば、その後にはずっと欲しかった快感が待っている――
そう思うと、吐息が触れる距離でじっと両の瞳を見つめて囁かれる言葉に、
シエルはこくんと頷くことしかできなかった。






改定履歴*
20110617 新規作成
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