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あくまで怪我人ですから -10-

「……え?」
「ほら、手を貸して。こう…いつも私がしているの、覚えているでしょう?」

悪魔はそう言うとシエルの片手を取り、その細い指をなめらかな曲線の奥へと導いてゆく。
自らの指がいままで触れたことのない後孔へとたどり着いた瞬間、シエルのからだはびくんと跳ねた。
それにも構わず、内部へと進入させられる感覚に赤く色づいた唇から慌てた声が漏れる。

「やっ、ばかばか、やめ」
「嗚呼、貴方の指ではきもちいいところに届かないかもしれませんね。
 坊ちゃんは奥の深いところが特にお好きですから」
「あ、んっ、ひぅ…っ」
「ほら、されるだけでなくちゃんとご自分で挿れてください、坊ちゃん?」
「やぁ…も、わかったセバスチャン、我慢するから、だから…っ」

ひとさし指の第一関節までを挿入させられて、シエルはとうとうぽろぽろと涙を零した。
月の光を反射して光るその雫が、余計に悪魔の情欲をそそる。

「いいこです、坊ちゃん。けれど『我慢』ではないでしょう?」
「…?」
「慣らしてくださいっておねだりしてみてください。ね?」

悪魔のふたつめの『お願い』は、普段ならばシエルにとって決して受け入れられるものではない。
けれど、もう思考もなにもかもぐずぐずにとけてしまっている今となっては話は別だ。
自分の指を挿入させられているということが顔から火が出る程恥ずかしく、
とにかくこの状況から解放されたいと、その事だけを思っていたシエルは、意を決したように口を開く。

「う、セバスチャ…」
「はい、坊ちゃん」
「おねがい、僕の、ここ、…っゆびで、弄って、挿れられるようにして…っ」
「指だけ…?舌でされるのもすきでしょう?ほら」
「あ!ぅ、っく、やぁっ」

ところが、精一杯のおねだりを聞いた悪魔がそれだけで満足する筈なかったのだ。
ぺろりと舌なめずりをすると自分の腹の上に座らせている幼い恋人の腰をぐっと引き寄せ、
誘うようにひくついている後孔へと舌を這わす。

「やあぁ!…っぁ、あっ、」
「嗚呼、坊ちゃん可愛いです。少し舐めて差し上げただけでこんなにひくつかせて」
「ひう、セバスチャ、セバスチャン」

両手の親指で奥まった蕾をくっと広げてねっとりと舐め上げ、尖らせた舌を進入させて。
揺れる腰を抑えるついでに、先程からはしたなく先走りを零している性器を扱けば、
泣きそうな声で呼ばれる自分の名前。残念ながら顔は見えないけれど、
その声に含まれる艶が感じすぎてどうしようもないシエルの心情を切々と伝えてくれる。

「…セバスチャ、」
「ん、気持ちいいですね…いいこですから、もう少し慣らすまで我慢できますか?」

我慢できないというように喘ぐ主人をとびきり甘い声で囁くように宥め賺し、
悪魔はそのまま舌と指を使って奥まった孔を解してゆく。
気を紛らわせて少しでもその快感を逃がそうとしているのだろう、
シエルは片手で握ったままだった悪魔の堅く勃ちあがったものに唇を寄せ、
そろりと差し出した舌でつうっと輪郭を辿るように愛撫を始めた。

「坊ちゃん、」
「ん…っ」
「いいこです。気持ちいいです、お上手ですね」

先程まで指とてのひらで擦っていた太い幹にそって唇を滑らせ、先端を赤い舌でぺろぺろと舐めて、
思い切ったようにぱくんと先端を口に含んで、息が苦しくなればまた焦らすように唇を離して。
時折漏れる、はぁ、というため息が性器に掛かるたびに悪魔のものは大きさと堅さを増してゆく。

感じるぎこちない舌遣いとあたたかな吐息に、セバスチャンの表情からも
次第に余裕がなくなっていくのだが――、夢中で口淫を施すシエルは、
その変化に気付くことができなかった。






改定履歴*
20110622 新規作成
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