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あくまで怪我人ですから -9-

「後ろを慣らす間に、…それ、大きくしてくれますか?」

半ば無理やり熱いモノを握らされて固まっているシエルの背後から、悪魔の声が、妖しく響く。
顔が見えない分羞恥心も少ないのだろう、シエルは少しだけ戸惑った後、勃ちあがりかけて
スラックスの中で窮屈そうにしているセバスチャンのものを、震える手でそっと取り出した。

恋人のちいさくあたたかな手の感覚と涼しい外気に反応してぴくんと堅さを増すそれに、
シエルは顔が赤くなるのを我慢することができない。思わず手を離してしまいそうになったが――
続けざまに聞こえてくる悪魔の囁きが、それを許してくれなかった。

『坊ちゃん、もっときゅっと強く握ってください』
『両手で包んで、上下に動かして。ゆっくりでいいですから…そう、お上手ですよ』
『嗚呼、気持ちいいです、坊ちゃん』

ぞくぞくするような声に導かれて、言われるまま愛撫を施してゆくシエルの
小さな背中や太腿を、セバスチャンの大きな手が労わるようにそっと滑る。
そうして、夜着にするりと手を滑り込ませ、シエルの脚の付け根や性器ぎりぎりの所を撫でるのだ。

シエルが焦れったいようなむず痒いような感覚にいくら身を捩じらせようとも、
悪魔はまるでお預けだとでも言うようにけしてそれ以上のことはせず、
ただ口角を上げた綺麗な笑顔で腕の中の仔猫の反応を楽しむだけ。

「ん、んっ、はぁ」
「坊ちゃん、腰、揺れてますよ?触るだけじゃ足りなくなってしまいましたか?」
「や…、揺れてない、からかうな」
「そうですか…?ですが私はおててじゃ足りなくなってきました。
 ねぇ坊ちゃん、そのままおくちでしてください」
「え、な…、やだ、無理だ!」

そう、シエルが嫌がるのにはちゃんと理由があった。
このまま口で愛撫するためには身体を前のめりにしなければいけない。
けれどセバスチャンの腹の上に後ろ向きに跨っている今そんな体勢をとれば、
自然と自分の下半身が悪魔の眼下に晒されることになるわけで。

いくらいつもされている事とはいえ、自分上位でそんな体勢をとるのは初めてで、
考えるだけで恥ずかしくてとてもそんなことはできないのだ。

「見られるのが恥ずかしい?」
「…っ、わかってるならそんなこと言うな」
「いいではないですか。慣らして差し上げる、と言ったでしょう?
 貴方がおくちでして下さっている間に…と思ったのですが」
「でも、そんなはずかしいこと無理だって」
「そうですか?けれど慣らさないと坊ちゃん痛くて泣いちゃいますし、困りましたねぇ」
「う…セバスチャン…」

片手ではセバスチャンのものをきゅっと握りこんだまま上半身を捻り、肩越しに見つめてくる
シエルの大きな瞳には、涙がいっぱい溜まっていて…その可愛らしくもいやらしい様子に、
悪魔はこくりと唾を飲んだ。

いますぐこの幼いからだを組み伏せて、後ろから突っ込み幾度も幾度も、
もう無理という迄思いっきり抱いてしまいたい――そう思ったが、そんなことをしたら
折角の『主人がお願いを聞いてくれる』という機会を棒に振ってしまう。

シエルを組み伏せる事など造作もない事だったが、悪魔はそれを振り切るように首を振って
できるだけ冷静な声で、シエルを操るため慎重に選んだ言葉を紡いだ。

「どうしても無理なら、ご自分で指を入れて慣らしてくださってもいいのですよ?」






改定履歴*
20110621 新規作成
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