top * 1st * karneval * 刀剣 * utapri * BlackButler * OP * memo * Records

ご主人様のベッド -3-

――結論から言うと、眠れなかった。僕の考えが甘かったようだ。



さぁ寝ようと目を閉じたところで、嫌な予感はしたんだ。
だって、耳に届いたのは部屋を出て行く靴音ではなく、燕尾服を脱ぐ衣擦れの音だったから。

それでももう無視を決め込んでじっと目を瞑っていたのに、
ごそごそとベッドに潜り込んできた侵入者は当然の様に僕の頭の下に腕を滑り込ませる。
ぎゅっと抱きしめられて感じたのは、認めたくはないけれど、慣れてしまった体温…。

「…なんっで、潜り込んでくるんだ!
 おまえさっき『おやすみなさいませ』って言ってなかったか?」

そこで、僕のいらいらは最高潮に達してしまった。
大体、執事の癖に主人の睡眠の邪魔するってどういうことなんだ!?

「言いましたが、下がるとは言っていません。
 坊ちゃんに風邪をひかせるわけにはいかないので、ここは譲れません」
「風邪なんてひかない、ひとりで眠れる!」

全くもう…、本当に、この執事には呆れる。
風邪だのなんだのもっともらしい理由をつけて、ここで寝る気なんだ。
それは、困る。困るんだ。だってもう、僕は一人で眠るって決めたんだから。
…ほんとうは、他にも理由はある、けれど。それは今、考えたら負けな気がする。

「またそんなそんな強がりを言って…強がりな貴方も可愛いですが。
 ひとりだと夜中トイレに起きても怖くて行けないでしょう?
 無視して寝ようとしても無理で、たっぷり30分程悩まれて、
 それからようやくベッドを抜け出す羽目になりますよ。
 先日は結局、それでお体が冷えてしまって、朝方まで寝付けなかったじゃないですか。
 そんなの嫌でしょう?私がお傍にいれば、そのおみ足が冷えないよう抱きかかえて
 お連れすることができます!」
「な、な…なんでそんなに事細かく把握しているんだ」
「坊ちゃんのことならばどんなに離れていても大体解ります。私、ヒトより少々鼻が利くのです」
「こわい」
「そうですねやっぱり怖いですよね。
 お化けが怖いなんて坊ちゃんはやっぱりまだまだ可愛いお子様です。
 私が添い寝して差し上げますから、ぐっすりおやすみくださいませ」
「違う、怖いっていうのは、お化けなんかじゃない、おまえのこと――わぁあっ」

額にセバスチャンの唇が触れて、かぁっと顔が赤くなるのがわかった。
言っていることはこれ以上ないくらい変態だし、額へのキスなんてもう慣れっこのはずなのに、だ。

今になって気付いたけれど、この体勢はまずい。
腕まくらされて腰に手を回されてキスなんて、明らかに主人と執事の関係じゃないだろう。
そんなことを意識し始めたらもうだめで、『ベッドから出て行け』と命令しようとしても声なんかでてこない。
それより、心臓の音がどくどくとうるさくて、…セバスチャンに聞こえてしまったらどうしよう。

なんで僕はいままでこの体勢で平気だったんだ!?






改定履歴*
20110427 新規作成
- 3/13 -
[] | []



←main
←INDEX

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -