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ご主人様のベッド -2-

「何故ですか坊ちゃん!」

一瞬、いや、二拍ほどの間の後に耳に届いたのは、セバスチャンの焦ったような声だった。
片足をベッドに乗り上げたままがしっと両腕をつかまれて、目線を合わせられる。
正直勢いにのまれてしまいそうだけど、でも、ここで怯んでいては駄目だ!
主人は僕なんだ、駄犬を躾けなおすためにも、ここは僕がしっかりしないと。

「おまえまさか今朝方僕に何をしたのか忘れたんじゃないだろうな」
「何って…寒がる坊ちゃんを暖めて差し上げたことですか?」
「尻を撫で回した、の間違いじゃないのか」
「まぁ確かに可愛いおしりを最優先致しましたが」
「あれで身の危険を感じた。理由はそれだけだ」

掴まれた腕を振り解きながら、できるだけゆっくり冷静に理由を告げてやれば、
目の前20センチの距離にある紅茶色の瞳がゆらりと揺れた。僕はこのセバスチャンの瞳に弱いんだ。
じっと見てると吸い込まれそうな程きれいで、なし崩しに言うことを聞いてしまう。
たとえそのことが解っていても逸らすことさえ叶わない。
さすが悪魔、こういう細かなところの造りまでよくできている。
今までこの手段で何人分の魂を食べてきたんだろうか…
なんて他のことを無理やり考えて意識をもっていかれないようにしてみれば、
セバスチャンはそれに気付いたのかちいさく舌打ちして僕と向かい合ってベッドに座った。

「おい、何さりげなくベッドにあがっている」
「…ですが、坊ちゃんは昨日も寝入られてからすぐに、
 貴方を抱きしめあたためてさしあげている私を蹴り飛ばしていましたよ。
 あの調子ですと、毛布なんてあっという間にベッドから落ちてしまいお風邪を召されてしまいます」
「おまえ人の話を聞いてるか?それから、蹴り飛ばしたのはわざとだ。
 尻を撫で回す手が睡眠の邪魔だったんでな」
「な…坊ちゃん起きていたのですか!寝たふりなんてひどいです!」
「うるさい黙れ変態、とにかくもう、一緒には寝ない!わかったな、セバスチャン!」

せっかくの決意を無駄にしないようにぎゅっと目を瞑って
一際大きな声で再度否定の言葉を口に出す。セバスチャンはそれでようやく諦めたのか、
僕をベッドに寝かせて毛布をかけて、ぽんぽんとあやすように頭を撫でた。

「では、おやすみなさいませ」
「ん」

ああ、これでようやくゆっくり眠れる。よかった。
ここのところずっと夜通し抱きしめられ続けて
なんだか寝たような気がしなかった分も、たっぷり寝てやろう。






改定履歴*
20110426 新規作成
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