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ご主人様のベッド -11-

悪魔の舌が、うつ伏せで腰だけを突き出した体勢に固定された僕の下半身を滑る。
暖かい舌が排泄器官から中に入ってくる感覚に自然と涙が溢れ、顔を押し付けている枕を濡らした。
その間にも長い指は僕の性器をくちゅくちゅと弄っていて、僕は声を我慢するので精一杯。

「っ、ん、ん…っ」
「坊ちゃん、お顔上げてください」

不意に舌が出ていってほっとした次の瞬間、今度は耳元で響く声に身を震わせることになった。
セバスチャンが後ろから覆いかぶさった体勢で、片手で僕をぎゅっと抱きしめてきたから。
くやしいことに、僕はこの声に弱いんだ。腰のあたりがぞくっとしてしまう。
セバスチャンはそれを解っているのか、くすくすと笑いながら僕の手を優しくとって仰向けにさせた。

そうして今度は、頬におおきな手を添えてキスをするんだ。深く深く、何度も。
時折耳を撫でられて、そのたびぞくぞくするような快感が僕を包む。
息継ぎがうまくできなくなって苦しくなって胸を叩いてみれば、その腕を首筋にまわされる。
促されるままぎゅっと抱きついてみたら、くやしいけれど、やっぱり安心した。

「ん、くるし…、息、が」
「嗚呼、お顔が真っ赤です。キス、もっと練習しましょうね」
「教え方が下手なんだ」
「申し訳ありません。うまく呼吸ができるよう、何度もお相手致します」
「…そうしろ」
「はい。ですが坊ちゃん?いくらキスがうまくできても、
 声を我慢されてしまうと息が苦しいばかりですよ」

唇にひとさしゆびをあてられてそんな事を言われては、返す言葉が見つからない。
声、我慢してたのばれてたのか。気恥ずかしさを隠すようにその指をかぷりと噛んでみても
セバスチャンにはなんの痛みもなかったようで、長い指はそのまま僕の舌を撫でた。

「猫さんみたいですね」
「主人を猫なんかと一緒にするとは失礼なやつめ」
「褒めているのですよ?可愛いというと、貴方は怒りますから」
「当たり前だ、…っ、あ、」

腰をぐっと抱えられて、先程まで散々指と舌で解されたところへ宛がわれたのは、
セバスチャンのおおきくて熱いものだった。
他愛無い会話は、きっと僕を緊張させないためなんだろう。
悪魔のくせに、ほんとうにこいつは僕に甘い。…そういえば、うんと優しくするって言ってたっけ。
反射的にからだが跳ねた僕のことを優しい目線で安心させて、悪魔は甘い声で囁いた。

「坊ちゃん、ちからを抜いていてくださいね」
「…ん」

この返事が、何を意味するかなんてわかってる。逃げるなら今しかないってことも。
でも僕は、首を縦に振ることしかしなかった。
嫌だなんて欠片も思わなくて、この優しい悪魔にもっと包まれたいと思ったから。






改定履歴*
20110511 新規作成
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