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ご主人様のベッド -9-

――息の仕方が、わからない。

セバスチャンからの突然の告白から、何分経っただろうか。
何度も何度もキスをされて、それがだんだん深いものに変わっていって、気が付けば僕は
向かい合わせに座らせられた執事の膝の上で、目の前の首に腕をまわして必死に声を我慢していた。

「坊ちゃん、息を止めたら苦しいですよ?」
「〜〜っ、セバスチャ、」
「どうなさいました?」
「…び、指、抜け、抜いて」
「だめです、よく慣らしておかないと、挿れるときに痛いですよ」
「――だからそれは、無理だって」
「大丈夫です。現に指はほら、入ったでしょう?」

囁くようなその言葉と同時に、手袋を外したセバスチャンの指が体内でくっと曲げられた。
散々弄ばれたそこからかすかな水音が耳に届き、腰のあたりがゾクゾクするような感覚が僕を包む。

「やっ!動かすなぁ」
「気持ちよくなってきましたか?」
「きもちよくなんか…」
「では、痛い?」
「…痛くはない」
「そろそろですかねぇ。ここもすっかり元気になったようですし」
「あっ!」

腰に回されていたセバスチャンの右手の指先が、いつの間にか勃ちあがっていた僕の先端をなぞる。
手袋が擦れるかすかな感覚だけで、ソコはまた新たな蜜を零した。

「…本当に、貴方は可愛らしい。愛してます、坊ちゃん…」
「あいしてる、なんて…」
「悪魔だって本心を言うときくらいあるのですよ」
「…言ってすぐにコレっていうのはどうなんだ」
「申し訳ありません、この行為以上に気持ちを伝えられる手段が、私にはわからなくて」
「僕は男でまだこどもなんだぞ」
「うんと優しくいたしますから。お嫌でしたら、命令を」

いつもと同じやわらかな笑顔でそんなことを口にして、セバスチャンはまた行為を再開した。
うしろを弄られながら、唇や額に降ってくるキスを受け入れる。

嫌だとも、やめろとも、言えなかった。本当に今日の僕はどうかしてる。
他人にこんな状態のモノを見られるなんて、つい数時間前までは想像すらしたことなかったのに、
見られるどころかあっという間に二度も射精させられて、今となってはセックス直前。
しかも相手は男で執事で、その上悪魔。付け加えるならば、僕は別にこいつのことなんて好きじゃない。

…ただ、ここ数日あまりに何度も繰り返されるやさしいハグとキスに惑わされたのか、
僕はこいつに対してトクベツな感情を持っているのかもってほんのちょっとだけ思ったこともあるけど、
事ある毎に僕の尻を撫で回すような変態にそんなことありえないと全力で否定したばかりだ。

なのに結局こんなことになってしまっている。僕はもしかしたら悪魔の魔力かなにかで操られているのかも。
きっとあの『あいしてる』の言葉に、僕の思考を停止させるちからがあったんだ。
そうでも思わないと今のこの状態を受け入れられない。

「…さぁ、挿れますよ。ちからを抜いて」
「え、あ、ま、待って!待て待て、セバスチャンっ!!」

ぐっとからだを抱え上げられて宛がわれた熱い塊に、びくんとからだが跳ねる。
慌てて目線を合わせてみれば、セバスチャンは面白くなさそうに僕を見ていた。
その瞳の色は、いつもの紅茶色とは違う、悪魔の赤。
これはセバスチャンの機嫌がわるいときの合図だ。
本人は気付いているのかいないのか、それはわからないけれど。

「坊ちゃん、こんなときに考え事なんていくら私でも傷つきます。
 何を考えていらっしゃったのです?かわいらしい婚約者様のこと?」
「ち、違う…」
「じゃあ別の方のことですか?」
「ばか、おまえのことだ!」
「…私のこと?」
「なんで僕は、おまえにこんなことされているのに嫌じゃないんだ?
 何か悪魔のちからとか使ったのか?僕はそんなの嫌だぞ、やるならやるで自分の意思でやりたい…」






改定履歴*
20110508 新規作成
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