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電波ろうたんとイトコのキッドくんのお話

「かぜひくのーかぜひくのーおふとんなくてさむーい」
「…」
「おふとんはがされてさむーい」
「…おまえが、蹴り飛ばしてるんだろ?」

ちいさなためいきをついて、その細身のからだを布団で包んだのはむくりと起き上がってきたキッドだった。
夜中に部屋を訪ねてきたローにベッドを譲り、自分は床に敷いた布団で寝ていた
キッドの顔の上に、突然上から布団が降ってきたのだ。
それに加えて、夜明けも近いというのに聴こえてくる、絶妙(微妙)な音程の歌。
当然、眠れる筈ない。

「お布団なくてさむーい」
「今掛けてやったろ?」
「…さむーい」
「ハイハイわかったわかった。つーか今何時だ?」

枕元にある携帯を開くと、光がぱぁっと射す。寝ぼけ眼にはつらい光だ。
液晶画面に表示された5時3分という中途半端な時刻を確認して、ふぁ、と欠伸をひとつ。
そのまま先程掛けてやった布団を無遠慮に捲り上げたかと思うと、
そのままローが寝ている自分のベッドに潜り込んだ。

そうして、まるで自分の体温を分け与えるようにぎゅうっと抱きしめるのだ。
それでようやくローは満足そうにふにゃりと笑うと、自分を抱きしめる男の腕に頬を摺り寄せた。
全く、こいつ程わかりやすいヤツはいねぇなとキッドも自然と笑顔になった。

「寒くねぇか?おれまで蹴り飛ばすなよ」
「…ん」

キッドの、寝起き特有のあたたかな体温がローをつつむ。
ふわり、とふたりおそろいのシャンプーのにおいがした。
こわめのキッドの外見からは想像もつかない、あまい花のにおいだ。

「…花のにおい」
「おまえが買ってきたんだろ?」
「いいにおいだ。おれ、これスキ」
「そか。よかったな」
「ん」
「もう寝るぞ。オヤスミ」
「おやすみ…」






おやすみの挨拶をした筈、だったのに。
程なくして聞こえてきたのは、ひとり分の寝息と、
しあわせそうな声の独特の絶妙なリズムの歌。

「寝たふりをして過ごーす 少しだけあたたかくなーる となりであなたが眠る」
「………んん……ロー、…き、だ」
「――うるさい、寝言は無視ーしーて」

カーテンから漏れる月明かりに、顔を赤くしたローがキッドの額に
そっとキスをする光景が映し出されたのは、それから数分後のこと。
それから太陽が昇りきるまでの間、一瞬だけふれた唇の感覚に気付くことなく
涎をたらして元気に寝るキッドの顔を、ローは心なしか嬉しそうな顔でじっと観察するのだった。




end

20110425
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