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キャスの船長観察日記

――船長、今日はここにいたんだ。

ぽかぽかと暖かな陽のあたる甲板は、おれのお気に入りの場所。
波も穏やかで気持ちのいい天気だから、休憩しようと思ってきたんだけど、
船長がいるなら、邪魔しないようにしなきゃ。


気紛れな猫のような船長は、いつだって自由気まま。
あ、もちろん戦闘中は違うけど。
普段の船の中では、研究に没頭してみたり、
まるで家族のように大事にしてる船員たちに構ったり、
今日みたいに天気のいい日には、甲板に座りこんで本を読んでみたり、そんな風に過ごしてる。

好きなことを好きなようにやってる時のその表情は、
びっくりするほど穏やかな、幸せそうなもので。
なんだか、見てるおれまで幸せになれるから、
おれは、そういう船長を見るのがスキなんだ。

だからつい、見かける度に目が追ってしまう。
今日の本は医学書じゃなくて航海術のなんだ、とか、
あんまり好きじゃないものもベポに勧められたらとりあえずひとくち食べてみるんだ、とか、
ふとしたときに、愛しそうに海と空が溶け合う境界線を見つめる癖だとか。
そんな小さな発見が積み重なって、
同時にこの小さな恋心も育っていくような、そんな気分。


あんまりじっと見てると失礼かなと思って、気をつけてるつもりだと自分では思ってる。
今だって、ほんとはそっと引き返した方がいいんだ。
ああ、でも目が離せない。邪魔しちゃダメだって、わかっているのに。

「…何だ?キャス」
「えっ、いや、何でもないです!」
「ヘンなやつ」

ほら、やっぱり見つかったみたいで声を掛けられる。
しまったと思う反面、船長の視界に入って名前を呼ばれる、
ただそれだけで幸せだなって思う自分もいるから我ながら手に負えない。

見てたのがバレるともちろん恥ずかしいし、邪魔して申し訳ないなって思うんだけど、
それだけじゃなく、いいこともある。

「ヒマなら、こっちこいよ」
「…え?」
「昼寝するから、枕になって」

ほらね、たまには、こんなご褒美が待ってるんだ。

――もちろん、おれの膝枕でよければ喜んで。






改定履歴*
20091026 新規作成
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