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複数モブ×ロー

――目の前にいるはずの男の顔は、見えなかった。

いや、正確に言えば、うっすらとは見える。
ただそれが、自分の知っているだいすきな人たちの面影とは重ならないから、見たくなかった、だけ。

光源のないこの部屋は月明かりだけが頼りなのに、
その月も今日は広く夜空を覆った雲にかくれて僅かな光しか届かない。
夜は船長室の窓から月や星や海を眺め、ランプの灯りで本を読み、
穏やかな時間を過ごすのが好きなローにとっては、普段ならあまり好まない夜だった。

でも今日に限っては、この闇夜に感謝したい気持ちになる。
なにしろ、自分のからだを犯しているのは名はもちろん顔も知らない男たちだったから。
眠っている間に連れてこられて、ここがどこかも把握できないまま
自分の体を貪るようにして群がる3人の男。
その気持ち悪い手や唇や舌に耐えて、もうどのくらい時間が経っただろうか。

「もっと腰上げろって」
「こら、暴れんな。舐めにくいだろ」
「手、止めんなよ」

ひとつしかない細身の体に、男たちの低いいやらしい声が二重三重に降ってくる。
ローの耳にはもうそれは『言葉』ではなくただの『音』としてしか届かない。一種の自己防衛だろう。
自らの首に架せられた首輪と寝台を繋ぐ無骨な鎖が奏でる、
がちゃがちゃという無機質な金属音だけが、ローの耳にやけにはっきりと響いた。

「…あ、あ、んう、…あっ」
「やらしー声。こいつ本当に2億なのかよ」
「さぁ…どーだろな、でもこの首輪が海楼石ってのは信じるしかなさそうだ」
「だよな。みろよ、こいつもう力抜け切ってんぞ」

太い陰茎を根元まで咥えたローの後孔からは、
男が腰を打ち付けるたびに中に出されていた精液がこぷりと音を立てて零れおちる。
その孔を指でなぞられて、ローは途切れることのない快感に頭を振った。

「…もっ、やめろ…」
「あ?まだ意識あったのか」

必死に搾り出した言葉は弱弱しく、続けて拒絶の言葉を口にしようと思っても
目の前の男に唇を塞がれて消えてゆく。
唾液を口移されるようなねっとりとしたキスに、ローは嫌悪で体を震わせた。
零れる涙は、決して快楽によるものではない。そう自分に言い聞かせても、
何度もイかされてべとべとになった体と蕩けた目線では何の説得力もなかったのだが。

「ん、っくそ、おまえら、後で覚えてろ…」
「はは、こいつまだ噛み付く元気あるみたいだぜ」
「頼もしいじゃねーか、おれらもまだまだヤり足りないしな」

大きく反り返ったものが目の前に差し出される。
ローは、その行為の意味にうすうす気付いていたが、わざと気付かないフリをした。
ただ、それで許される程甘くはない訳で。

「おい、口開けろ。」
「――っ」
「舐めるんだよ。噛むんじゃねぇぞ」
「い…っ」

ふるふると力なく首を横に振ってみてもたいした抵抗にはならず、むしろ髪を鷲掴みにされて固定される。
そのまま角度を上向きにされて、惰性で開いた口に猛々しいモノが捩じ込まれた。
遠慮なしに奥まで入ってくるそれを必死で受け入れていると、感覚が麻痺してくる。

「んぅっ、ん、む…」

――もう、はやくイってほしい、そうしたらきっと、おれは自由になれる――

そんな確証はどこにもないのに、他に何を希望にすればいいのか分からなくて、
ローはまた目の前の陰茎に舌を這わせた。

裏筋をねっとりと舐めあげて、亀頭をぱくりと口に含む。
両手が使えない分丁寧に、粘膜を吸い付かせるようにして愛撫すると、
先走りの苦いようなしょっぱいような味が口内に広がった。

「…やれば、できんじゃん」
「ふ…っく、は、」

声に導かれるようにして視線を上げる。
自分を見下ろす雄の顔には、先程までとは違う焦りの色が浮かんでいて―…
ローは自分の中のなにかが、ぞくんと痺れるような感覚に襲われた。

「ん、っむ…」

目を伏せると零れる涙にも構わずに、まるで陰茎を飲み込むかのように喉の奥にこすりつける。
舌で擦るように刺激しながら頭を引いて、もう一度。
そうすれば男の切羽詰ったような声が聞こえて、口内が一気にからっぽになった。

不思議に思って目を開ければ、目に入ったのは自分目掛けて飛んでくる白い飛沫。
慌てて瞼を閉じると、生暖かい精液は眉間にべっとりと絡みついた。
つぅっと垂れてくる感覚の煩わしさを厭う間もなく、
男はまたローの髪を掴み顔を上げさせると、冷たい声で指令を下す。

「舐めて綺麗にしろ」

目の前に差し出された陰茎から滴り落ちる精液のにおいが生々しい。
ローは、それでも言われた通りにすることが解放への唯一の手段だということを信じて舌を這わせた。
途端に広がる苦味に、知らず知らすのうちにまた目の端に涙が溜まる。

「こっちも忘れてもらっちゃ困るんだけど」
「――ぁ!?やっ、あ!!」
「おい、あんまり激しくすんなって。おれのが噛まれたらどーすんだよ」
「大丈夫だよなァ船長さん。うまくやれるよな?」
「っあ、も、むりぃ…」
「無理とか言って乳首立たせてんじゃん。まじでこいつ淫乱だな」
「や、やっ…」

後ろに入れられていたモノを不意に出し入れされて、ローの細身の体はびくんと大きく跳ねた。
大きく見開いた目の前には相変わらず萎える様子のない別の男のモノが、容赦なく迫ってくる。
それだけでもういっぱいいっぱいなのに、自分の体を支える男は乳首を摘むようにして刺激してきて、
本当にもうどうにかなってしまいそうだ。

「なぁ船長さん、ここ、こんなに濡らしてっけど、このままでいーの」
「ひぁ…っ」
「後ろだけじゃやっぱイけねーの?さっきみたいに触ってやろうか」
「う、あ…、ゃ!だ、だめ、ヤメロ」
「なんでだよ。さっきは擦られて気持ちよさそーにイってたくせに」
「あ、あ――!」

今の今まで放って置かれた性器を擦られて、思わず腰が引けてしまった。
同時に、後ろに突っ込まれているものをきゅうっと締め付けてしまい、それが後ろの男を煽る。

「っく、やべ、イきそ…」

腰を掴まれがつがつと打ち込まれる杭のような堅さを持ったものが、ローの前立腺を掠める。
それがゆっくりと扱かれていた快感と相俟って、ローは声もなく精液を吐き出した。





がしゃん、とガラスの割れた音がした気がする。


霞んでくる意識を必死に繋ぎとめて音のするほうを見れば、だいすきな人の影が見えた。

ローは、それが現実なのか限界を超えた自分の脳が見せた幻なのか判断できないまま、
ゆっくりと瞼を閉じた。







改定履歴*
20101012 新規作成
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